リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2014.10.27

  • 国東農業研修

2014国東農業研修 安心院型グリーンツーリズム(二)

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安心院の農家民宿の歩みを語る中山ミヤ子さんと市役所で農家民泊の担当をしている中山さん
この項目は、深山さんの報告書原稿から引用する、二回目の「安心院の農家民泊」のレポートです。
今回ミヤ子さんに直接お話を伺わずに資料だけを読んでいたら、理念は立派だがそれを実践するのは難しいことだし、きっと現実は違うはずだと考えただろう。しかし、ミヤ子さんに名刺を頂きミヤ子さんの「辞めたいと思ったことはない。今日は誰が来る?受ける方もルンルン気分」「これを始めて楽しくなった。農家の嫁は交流があまりない。交流があれば楽しくやっていける」という言葉や、今まで訪れた人のことを楽しそうにお話なさる姿を見て、理念が現実のものとなっているということを実感することができた。
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おもてなしの本質を感じることができた「舟板昔ばなしの家」の暖かい空間
もうひとつ印象に残ったのが、市役所の中山さんの「安心院型のグリーンツーリズムは体験そのものがメインではない。体験は心と心をつなぐためのひとつのツール」であり、「体験そのものよりも人の優しさやぬくもりに感動してリピーターになる」のだという言葉である。ミヤ子さんの農泊には修学旅行生以外にも一般のお客さんが多く、家族で来た子どもたちが大きくなり「大学生になったら友達と来る。彼女を見せに、子どもを見せに、どんどんつながっていく」そうである。そういう「家族的な」「深い付き合いにつながる」のは、体験を通しいつの間にか心がつながり、お客さんがミヤ子さんのファンになるからだと思う。
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ほとんど全てが農家さん所で収穫された野菜や食材で出来上がっている心に残る味の数々。こうして互いに寄り添って食べるのも印象的な体験だった。
私も今回、9月1日の研修前に農業体験のため、小ネギ農家の長廣さん宅で3泊お世話になった際に似たような経験をした。友人と私の二人という少人数でお世話になったので、92歳のおばあさんも含め家族で食卓を囲み、お父さんの晩酌に混ぜてもらい、研修期間中よりも農家の暮らしの中に入り込んでいる感じがあった。いつの間にか長廣さんのことを幼い頃から知っている親戚のように感じ始め、長廣さん宅を離れる頃には数日前に初めてお会いした方とはとても思えない気持ちになっていた。なぜなのだろうと不思議に思っていたが、中山さんのお話を聞いて、様々な体験を通して農家の方と関わるうちに心の交流ができたということなのかなと思っている。その証が長廣さんのお宅を発つ時の泣なのかもしれない。
グリーンツーリズムは都会で育った人間が田舎にお邪魔し農家の暮らしを体験するものと単純に考えていたが、安心院型グリーンツーリズムについてお話をうかがい、観光旅行では得難い貴重な出会いがあることを知った。ミヤ子さんの「安心院の外から来る人、町内の人、こんな素晴らしい人がいるんだなーと思う」という言葉のように、自分の町やそこに住む人々の良さを再発見し、町の外へ外へと広がりを生むグリーンツーリズムのおもしろさを学ぶことができた。