リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2014.10.07

  • 国東農業研修

安心院(あじむ)の鏝絵 2014年国東研修

今年の研修では、難読地名の一つである安心院を初めて研修地として訪れました。
以下は、廣田さんによる今年の報告書原稿を引用したものです。

 
歴史感じる街 安心院の鏝絵
最終日、安心院に伝統芸術を見に行った。その芸術こそ、「鏝絵 こてえ」である。鏝絵とは土蔵や家の戸袋などの平らな面に塗られた漆喰の壁面に、鏝を使って薄肉状に盛り上げた彩色漆喰で描いた絵だという。江戸時代の後期に一般に広まり、その絵には職人の遊び心や持ち主への温かな想いが込められている。この日私達は宇佐市安心院支所の中山丈広さんに案内して頂き、約8ヶ所程の作品を堪能した。

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100年以上経っても色褪せない「松と鷹」という作品には、その技術に驚かされた。「松」が不老長寿、「鷹」は鳥類の王者の象徴で、家の繁栄への願いが込められているという。作り手の想いが込められた優しい作品だ。「昔顔料に緑が無かった頃は青を用いていた」といった知識も中山さんに教わった。時代と共に色彩も変わってくるのだと芸術史の面白さを感じた瞬間だ。
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また巨大な招き猫やユニークな表情をした七福神など、非常に魅力的な作品の数々を見ながら、職人の製作時の表情や想いに想像を巡らすのは面白い。遊び心に富んだ作品は、さぞ多くの笑顔に歓迎され受け入られてきただろう。
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途中「富士山」の鏝絵を紹介して貰ったが、本作品は長い間板壁の裏に隠されており、発見時には驚かれたそうだ。もしかすると、今後も思わぬ所から思わぬ鏝絵が見つかるかもしれない。そう考えると、ロマン溢れる街に胸が高まる。
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歩けば歩くほど鏝絵と巡り合える街、素敵な所だ。100に近い数の鏝絵があるという安心院、再び訪れ今回見る事の無かった作品も是非見てみたい。先程の顔料の様に芸術の知識を事前に多く身に着けていれば、異なる視点で作品を堪能できるだろう。歴史ある芸術を住民で守り受け継いでいくその姿勢についても学び、話を聞いてみたい。きっと多くの人が中山さんの様に楽しそうに優しくその歴史や想いを語ってくれるに違いない。