リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2013.11.25
- 武蔵One Point自然観察
ヤツデの性転換
ヤツデは身近な植物の代表ともいえますが、花が性転換するという興味深い種です。花の性転換といっても、時間的に性を分けるのです。咲き始めは雄しべが成熟して雄花ですが、しばらくすると雄しべが落ちて雌しべが伸びてきて雌花となるのです。以下の写真でその変化を確かめてみることにします。
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ヤツデは、秋が深まってくる頃つぼみが膨らみだします。撮影日時: 2013:10:22 07:48:10 -
花の集まりを花序といいますが、かなり大きな花序となります。撮影日時: 2013:11:25 07:44:56
ヤツデの花序には、特徴があります。写真をみるとわかるように、最初に咲く咲き始めた花の塊がついている白い花軸の中途から、硬い塊が二つずつ出ています。この硬いつぼみの塊は第二段目の花で、一番外側の花が雄花から雌花へと咲き進んだ頃に咲きます。さらに第三段目の花がついていることもあります。花の咲いている期間を長くすることができる工夫です。
また、白いという色の特徴も、濃い常緑の葉に対して、花序全体で誘引力を高めているのでしょう。塊一つ一つには、花が40個足らず咲いていて、咲くときは、同調して咲くことも、大切な特徴です。つまり、株全体が雄となり花粉を運んでもらい、次に、雌となり花粉を受け取ることになる。色んな進化の特徴を考えながら、見慣れたヤツデを観察すると生命の奥深さを知ることができるでしょう。
また、白いという色の特徴も、濃い常緑の葉に対して、花序全体で誘引力を高めているのでしょう。塊一つ一つには、花が40個足らず咲いていて、咲くときは、同調して咲くことも、大切な特徴です。つまり、株全体が雄となり花粉を運んでもらい、次に、雌となり花粉を受け取ることになる。色んな進化の特徴を考えながら、見慣れたヤツデを観察すると生命の奥深さを知ることができるでしょう。
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花序の構造がわかるようになってきました。撮影日時: 2013:10:29 08:02:11 -
花が咲き始めました。雄しべがはっきりとわかりますが、まずは雄花として出発します。撮影日時: 2013:10:31 08:26:32 -
花弁は5枚、雄しべも5枚です。一つ一つが雄花ですが、蜜の出方が、普通の花のように奥に隠れているわけではありません。丸くドームとなった部分のあちこちから湧き出しています。撮影日時: 2013:11:04 08:15:56
雄花も雌花も、訪れる昆虫にとっては、蜜が得られる場所であることが一番です。実は、訪れる昆虫はハエが多いのですが、ハエが蜜を吸って花を動き回ると丁度雄しべの先がハエの腹に付く高さになっているのです。丁寧に横から見つめていると、ハエが口を伸ばして蜜を吸い取っていくのを見ることができます。また、蜜があればアリがやってきます。しかし、アリは花粉を運ばず蜜を取ってしまう、盗蜜ということになります。
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白雉祭が終わって、丁度一週間たちました。雄花から雌花へと変化し、第二段の雄花が満開となっています。撮影日時: 2013:11:13 08:21:09 -
花粉を運ぶのは、寒くなったこの時期でも活動しているハエです。その他、意外に多様な昆虫が訪れます。撮影日時: 2013:11:17 11:36:38 -
カメムシがやってきていました。雄と雌でしょうか?撮影日時: 2013:11:17 11:36:22