リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2013.07.02

  • 武蔵One Point自然観察

カラスの巣立ち

カラスは東京の街ではなじみの鳥です。武蔵の中で巣作りしたときには、とくに巣立ち前後には、巣の近くを通ると攻撃されることもあります。
 
日本には、主に2種類の黒いカラスが分布しています。ハシブトガラスとハシボソカラスです。この2種には、すぐ区別できる特徴があります。泣き声と歩く姿をよく観察してみてください。
 
鳴くときの姿勢ですが、ハシブトガラスが鳴くときは喉が膨らみ、声はカアーカアーと聞こえます。一方、ハシボソガラスは、おじぎをするように鳴き、ガアー ガアーと濁る声です。歩き方にも違いがあり、ハシブトガラスは、歩くこともできるが、どちらかというと両足そろえてピョンピョン跳ぶ歩き方が多い。ハシボソガラスは、両足を交互に出して歩くことが圧倒的に多い。
 
仙台のハシボソカラスのクルミを割る行動は、特別面白いものです。なんと、赤信号で止まった車の前輪の前にクルミを置き、クルミを割れるのを待って食べる のです。その上、この行動が最初に始まったのは、近くの自動車教習所だったことが明らかになっています。カラスも練習をしてから、公道へでかけていったの でしょうか?こうした、カラスの知性や文化行動が、数多く発見されてきています。6月に紹介した「青いカラス」(オナガなど)ではあまり知られていません が、「黒いカラス」の仲間には知性の高さを示す行動が数多くしられています。
 
この項目は「カラスの自然史ー系統から遊び行動までー」樋口広芳、黒沢令子編著。北海道大学出版会、2010年を参考にしました。
  • カラスの巣立ち
    口元が赤くていかにもこどもの印が目立つ。
  • カラスの巣立ち
    こちらを向いて鳴くカラスのくちばしは鋭い。 2012年7月19日撮影。
  • カラスの巣立ち
    羽づくろいをする若いカラス。 2012年7月19日撮影。