リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2013.01.22

  • 武蔵One Point自然観察

ヒヨドリとセンダン

冬になると、野山には雪が積もり鳥たちにとっては餌の確保が問題です。そのため、大ききな季節変動に合わせて、渡りをする鳥も数多くいます。白鳥が日本列島にシベリアから渡ってくるのは、日本の冬がシベリアに比べるとづっと暖かいからです。
 
鳥のなかには、日本列島に住み着いている留鳥もいます。ヒヨドリは季節移動もしますが、日本列島のなかで小規模な地域間移動をするだけのものもいます。冬は鳥にとって厳しい季節ですので、冬に実る果実は貴重な食料源です。その一つがセンダンです。
 
高中の入り口の守衛所の上に枝を広げているセンダンに、正月明けから沢山のヒヨドリが集い、一斉に実をついばんでいました。その様子を撮影したものです。
 
ヒヨドリはこの果実を丸呑みしてしてしまいます。こうして、ヒヨドリのお腹の中を通過して、あちこちに種子が散布されるのです。センダンからヒヨドリへの 報酬が果肉なのです。種子は大きければ発芽初期の成長が保障されますが、鳥にとっては消化できない部分なので食べるのを避けることになりかねません。報酬 を無駄に多くしても果実数、種子数を減らすことになってしまいます。また、鳥のくちばしのサイズによっては、食べることができないという制約もあります。 こうした要素が、複雑に絡み合い、トレードオフの関係も交えながら、果実の色やサイズ、鳥との相互作用が進化してきたのです。
 
ヒヨドリを撮影していると、学内には雪の多い野山から避難してきた、他の小さな鳥たちも見かけました。シジュウカラも見かけましたが、ひょっとするとこの武蔵で巣立ったのかもしれません。
 
NPO法人バードリサーチのHPで、ヒヨドリの鳴き声を聞くことができます。
 
http://www.bird-research.jp/1_shiryo/nakigoe.html
  • ヒヨドリとセンダン
    灰褐色の羽毛を持つヒヨドリ。ピーヨ、と大きな声で囀っているのがよく聞かれる。 撮影日時: 2013:01:22 13:48:25
  • ヒヨドリとセンダン
    ヒヨドリは大きな果実を丸呑みにする。 撮影日時: 2013:01:22 13:48:37
  • ヒヨドリとセンダン
    ヒヨドリの正面から見た丸呑みの瞬間。 撮影日時: 2013:01:23 14:33:37
  • ヒヨドリとセンダン
    丸呑みをした直後のヒヨドリ。一瞬前に口を大きく開けていたとは思えないような澄まし顔である。 撮影日時: 2013:01:23 14:33:39
  • ヒヨドリとセンダン
    若草色に春を思わせるメジロの姿。目のまわりの白いラインが特徴的。 撮影日時: 2013:01:22 14:02:27
  • ヒヨドリとセンダン
    樹皮の陰に頭を隠しているメジロの背が見える。 撮影日時: 2013:01:22 14:01:05
  • ヒヨドリとセンダン
    シジュウカラ。武蔵学園内から巣立って、戻ってきたのだろうか? 撮影日時: 2013:01:22 14:04:24
  • ヒヨドリとセンダン
    1月の冷たい濯川で水浴びをするシジュウカラ。 撮影日時: 2013:01:22 15:08:39
→10日間のセンダンの変化→
  • ヒヨドリとセンダン
    1月上旬のセンダン。枝いっぱいに果実が生っている。 撮影日時: 2013:01:10 09:42:37
  • ヒヨドリとセンダン
    左の写真の10日後の様子。ヒヨドリに食べられ、ほとんど果実は残っていない。 撮影日時: 2013:01:21 11:22:00