リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2011.04.11
- 武蔵スポーツ見聞録
人間・環境ゼミナール(上向貫志)その1
人間・環境ゼミナールとは、人文学部3学科に所属する教員以外を指導教授として、卒業論文の執筆に取り組むためのゼミナールです。研究領域としては、「環境自然系」「身体運動学系」「教育学系」「心理学系」の4領域があり、3年時後期からの履修となります。
私の専門は、身体運動学系、つまり「スポーツ」です。スポーツを文化的に追求してみたい、あるいは科学的に探求してみたいといった学生達が卒業論文に取り組んでいます。
これまでのゼミで扱った内容を紹介してみましょう。
1.ラグビーの発祥
私の専門は、身体運動学系、つまり「スポーツ」です。スポーツを文化的に追求してみたい、あるいは科学的に探求してみたいといった学生達が卒業論文に取り組んでいます。
これまでのゼミで扱った内容を紹介してみましょう。
1.ラグビーの発祥

この写真は誰かわかりますか?そうです、ラグビーの発明者としてその名を今日に残しているウィリアム・ウェッブ・エリス少年です。イングランド、ウォリッ ク州ラグビーにあるパブリックスクールのラグビー校前に設置されている彼の像です。伝説の内容は次のようなものです。「1923年、ラグビー校で行われていたフットボールの試合中に、エリス少年が突然ボールを手で持って走り出した!」。これが今日ではラグビーの誕生として紹介されているのですが、果たして真実なのでしょうか?この伝説は、ラグビー校校友会誌Meteorに、マシュー・ブロクサムが投稿したことから始まっています。しかし、 Athletics and Football (1887)の中で、モンタギュー・シェアマンは「そうした個人的、偶然的なルールの変更の可能性を否定し・・・」と主張しています。この相反する主張を 調査したものがThe Origin of Rugby Football (1897)の中に報告されているようです。その後も様々な議論がなされているようですが、学閥の問題、伝統主義の根強さ、競技界のヒエラルキーなどの要因が絡み合い、このエリス伝説が「神話」として今日に語り継がれていることが見えてきます。(つづく)