人文学部ゼミブログ

2025.10.16
- 人文学部
- 日本・東アジア文化学科
ことばの意味を考える
ブログ投稿者:日本・東アジア文化学科 助教 片山 久留美

「日本の言語文化演習2」では、日本語の類義語の意味の違いを考えることを通して、語の意味の分析のしかたを身につけ日本語の語彙の特徴について学ぶことを目指しています。
たとえば、「恐ろしい」と「怖い」という語は、「野生のクマは〔恐ろしい/怖い〕。」のように、どちらを使っても違和感がない場合があります。しかしこの2つの語は意味がまったく同じというわけではありません。どういう違いがあると思うか、まずは学生の皆さんに自由に意見を出してもらいました。
・ニュース番組などでは「恐ろしい事件が起きた」とは言うが、「怖い事件が起きた」とは言わない
・作り話(フィクション)のホラー映画は「怖い」と言うが、実在の事件をもとにした映画だと「恐ろしい」のほうが合う
・自分に理解できる範疇の中で起きたことが「恐ろしい」で、理解を超えたもののほうが「怖い」
・「先生」「虫」「試験」など自分の力で何とかできるもの・「お化け」など実在しないものは「怖い」、「災害」「病気」など自分ひとりではどうにもならないスケールのものは「恐ろしい」
たとえば、「恐ろしい」と「怖い」という語は、「野生のクマは〔恐ろしい/怖い〕。」のように、どちらを使っても違和感がない場合があります。しかしこの2つの語は意味がまったく同じというわけではありません。どういう違いがあると思うか、まずは学生の皆さんに自由に意見を出してもらいました。
・ニュース番組などでは「恐ろしい事件が起きた」とは言うが、「怖い事件が起きた」とは言わない
・作り話(フィクション)のホラー映画は「怖い」と言うが、実在の事件をもとにした映画だと「恐ろしい」のほうが合う
・自分に理解できる範疇の中で起きたことが「恐ろしい」で、理解を超えたもののほうが「怖い」
・「先生」「虫」「試験」など自分の力で何とかできるもの・「お化け」など実在しないものは「怖い」、「災害」「病気」など自分ひとりではどうにもならないスケールのものは「恐ろしい」

いずれも2つの語の意味の違いの本質をとらえた鋭い指摘です。国語辞典では「怖い」は「恐ろしい」より口語的(話し言葉的)であることや、「怖い」は主観性が強く、「恐ろしい」は客観性が強い表現であるといった説明がなされていますが、身近な例を挙げてみることでより直感的・具体的に2つの語の違いに迫ることができていると思います。
こうして自分でも気づかないうちに使い分けている部分をとらえて言語化したうえで、コーパスなどを用いて集めた実際の用例やデータに基づいて客観的に意味の違いを分析していきます。こうした活動をとおして、研究対象として日本語をとらえるだけでなく、文学作品を読むときや人とコミュニケーションを取るときにも一つ一つのことばを丁寧に扱えるようになってほしいなと思っています。
学生の皆さんが毎回さまざまな観点から多彩な意見を出してくれるので、私もたくさん刺激をもらっています。このブログを読んでくださっている皆さんも、上記の「恐ろしい」と「怖い」の違いに関する意見を読んで興味が湧いたらぜひ、国語辞典で意味を確認したり例文をつくって違いを考えたりしてみてください。
こうして自分でも気づかないうちに使い分けている部分をとらえて言語化したうえで、コーパスなどを用いて集めた実際の用例やデータに基づいて客観的に意味の違いを分析していきます。こうした活動をとおして、研究対象として日本語をとらえるだけでなく、文学作品を読むときや人とコミュニケーションを取るときにも一つ一つのことばを丁寧に扱えるようになってほしいなと思っています。
学生の皆さんが毎回さまざまな観点から多彩な意見を出してくれるので、私もたくさん刺激をもらっています。このブログを読んでくださっている皆さんも、上記の「恐ろしい」と「怖い」の違いに関する意見を読んで興味が湧いたらぜひ、国語辞典で意味を確認したり例文をつくって違いを考えたりしてみてください。