人文学部ゼミブログ

2025.06.24

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高校の世界史から大学の歴史研究へ

ブログ投稿者:ヨーロッパ文化学科 専任講師 田瀬 望

私が担当する専門ゼミでは、近世(16~18世紀)ヨーロッパという時空間を舞台に歴史学を実践的に学んでいきます。このゼミは、ヨーロッパ文化学科の3年生向けで、参加学生は、テキスト精読と議論、研究発表やレポート執筆を通して歴史学の作法に慣れ親しみながら、自分が関心を持ったテーマについて問いを設定し、さまざまな視点から調査し、議論を組み立てることができるようになることを目指します。
ゼミ生の顔ぶれは毎年変わりますが、高校の世界史からヨーロッパに興味をもった学生や、中学の社会科や高校の世界史の教員免許取得を目指す学生が集まる傾向にあります。
ゼミの前半には、大学の研究者が執筆した近世ヨーロッパ史の論考を精読して議論しています。

2025年度春学期は、『岩波講座世界歴史15主権国家と革命』(岩波書店、2023年)に収録された宗教改革や大西洋革命、産業革命に関する論考などをテキストとしました。学生は事前にテキストを読み、担当者の要約と補足説明を聞いたうえで、議論に移ります。教員の狙いは、学生が近世ヨーロッパ史の特徴や流れを確認しながら、高校の世界史教科書の記述の背後には歴史研究の蓄積や議論(複数の解釈)があることを実感してもらうことにあります。
今年の秋学期には、歴史研究の基礎にある史料分析の仕方を学ぶために、研究者が学術雑誌に投稿した論文をテキストとする予定です。4年生での卒業論文の執筆を見据えて論文という形式に親しみつつ、日記や手紙、絵画や法律といったさまざまな過去の痕跡から、どのようにして歴史像を描くことができるのかを考えてもらうためです。

各学期のゼミの後半には、学生は、精読と議論を踏まえて自らテーマを設定し、調査した内容を口頭で発表し、その内容を期末レポートとしてまとめます。私は本学に着任してまだ2年目のため、試行錯誤しながらゼミを運営していますが、学生が専門ゼミから卒論ゼミに向けて視野を拡げ、問いを深め、自分なりに納得のできる卒業論文を執筆して卒業できることを願っています。