人文学部ゼミブログ

2022.12.16

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  • 英語英米文化学科

イギリス女性史から知らないイギリスを学ぶ

ブログ投稿者:英語英米文化学科 教授 佐藤繭香

今年度の人文学部英語英米文化学科の専門ゼミ「イギリス史ゼミナール」では、女性史をトピックとして取り上げました。女性にしたのは、私の専門がイギリス近現代ジェンダー史であるということもありましたが、歴史学には様々な歴史の捉え方があり、女性という対象に絞ることで、これまで学んだことのない女性の視点からのイギリス史が学べると考えたからです。ゼミには2年生から4年生までが集まりますが、概説的なイギリス史を学んだことのない学生も多く、テキストには、幅広く様々なトピックを取り上げているものを選びました。かなりボリュームのあるWomen in England 1760-1914: A Social History(Susie Steinbach,2004)というテキストです。
英語の文献講読をし、内容を発表してもらい、議論するというのが基本的な流れになります。テキストは、労働階級から王室までの女性の家庭生活、仕事、結婚、恋愛、セクシュアリティ、出産、宗教、教育、政治などトピックが多岐にわたりますので、学生は、これまで読んできた文学作品や映画を参照したり、自分の知っている日本の現状などと比較しながら議論をします。例えば、イギリスの小説家ジェーン・オースティンの作品では駆け落ちがよく登場しますが、なぜ駆け落ちをしたのか、テキストで学んだ当時の中流階級以上の女性の結婚の実態や法律などを学びながら意見を交換したりします。つい現代の常識や価値観で昔の人の行動や考え方をとらえてしまいそうになったりもしていましたが、当時の常識や価値観はどうだったのだろうということを頭に入れながら、歴史学の考え方を学んでいきます。
イギリス史の知識を身につけたゼミの最後には、自分が興味を持てるトピックについて調べ、発表してもらっています。いくつか例をあげると、「19世紀の女性の娯楽」、「合理服運動について」、「ジンからみるお酒と社会の関係」、「19世紀のペットブームに伴う社会問題」、「19世紀のイギリス女性と自転車文化」などです。実に様々なトピックが登場し、興味深いです。教員である私も学ばせてもらっています。