人文学部ゼミブログ

2022.01.15

  • 人文学部

スポーツを問いなおす

ブログ投稿者:基礎教育センター 准教授 荒牧亜衣

 みなさんは、これまでスポーツとどのようなかかわりをもってきましたか。
 「体育」の授業の中で、あるいは「運動部活動」としてスポーツを経験した人もいるでしょう。2021年度は、オリンピックが2度開催される異例の1年になりました。国際競技大会で活躍するアスリートの姿を通して、スポーツへの関心を高めることもあるでしょう。こうしたかかわりを通じて、スポーツに対して好き嫌いといった感情をもったことがある人は多くいるのではないかと思います。
 私が担当するゼミには、スポーツをテーマに卒業論文を執筆したい学生が集まります。ゼミ生には、これまで自身がかかわってきたスポーツの「当たり前」について、あらためて問いなおしてほしいと考えています。卒業論文の執筆は、議論や対話を通して、それぞれが考えるスポーツの「当たり前」を見直しつつ、自ら問いを設定することからはじまります。
 例えば、いわゆる「運動部活動」には、日本の中学生の50%以上が参加しているといわれています。一方で、この参加率には男女差もあります。この男女差は高等学校でさらに広がります。1896年に第1回大会が開催されたオリンピックでは、実施されるすべての競技に女子種目が採用されたのも、参加するすべての国と地域から女性が出場したのも2012年のことでした。 
 スポーツにおけるこのような男女差は、「多様性と調和」がコンセプトに掲げられた東京2020大会でも様々な形で取り上げられました。さらに、わたしたちは男女差について無自覚なままにスポーツにかかわっていることもあります。性別二元制が基本となっている競技スポーツでは、多様で個別的な身体を尊重することが難しい状況も続いています。
 スポーツは、それを醸成した社会を映す鏡だともいわれます。スポーツは、人間の身体を通じて、社会に影響を与えうるものだと考えています。スポーツを問いなおすことによって、あらためて人間とは何か、世界はどうあるべきか、考えてみませんか。