人文学部ゼミブログ

2025.02.14

  • 人文学部
  • 英語英米文化学科

アメリカ史ゼミ

ブログ投稿者:英語英米文化学科 専任講師 天野由莉

2024年度の「アメリカ史ゼミ」では、11月に行われた大統領選挙を踏まえ、現代アメリカ社会が直面するさまざまな問題を、「人種」と「ジェンダー」という2つの観点から掘り下げ、理解を深めてきました。格差の拡大や根強く残る人種差別、非正規移民をめぐる論争、社会の分極化、中絶の権利の後退などさまざまな論点について、アメリカ史の教科書を用いて歴史的に振り返りながら、教室で活発な議論を重ねました。
毎回の授業では、まずその週の担当学生が課題文献の要点を報告し、ディスカッション・クエスチョンを提案します。「良い」ディスカッション・クエスチョンを立てる力を養うことも、このゼミが重視することの一つです。教科書には直接的な答えが書かれていないものの、それを追求することで問題の核心に迫ることができる「議論し甲斐のある論題」とはどのようなものか、学生自身が問いを立てることで、考えを深めてもらっています。
授業で最も多くの時間を費やすのは、グループ・ディスカッションです。進行役のリーダーを決めた上で、グループに分かれ、提案されたディスカッション・クエスチョンについて自由に議論を進めてもらいます。意義のある議論にするためには、参加する全員が課題文献について自分なりの考えをきちんと整理し、準備してきていることが重要です。発言が苦手な学生には、事前に提出してもらっているコメントシートの内容を基に、「~さんが考えていたことに繋がるんじゃないかな」などと私から声をかけることもあります。
学生同士で議論を重ね、互いの意見に耳を傾け、グループとしての結論を導いていく過程で、それぞれが知らず知らずのうちに内面化していた偏見に気付いたり、どうでも良いと思っていたことの重大さに思い至るということも、よくあるようです。2年生から4年生まで、幅広い学年の学生が履修していますが、学期が終わる頃には、学生同士の間に信頼関係が築かれ、緊張せずに自由に発言できる和やかな雰囲気が生まれるのは、教員として大きな喜びです。