人文学部ゼミブログ

2016.12.26

  • 人文学部
  • 日本・東アジア文化学科

中国語を通して思想史を学ぶ

ブログ投稿者:日本・東アジア文化学科 教授 水口拓寿

「中国思想史演習」は、今日の華人社会にも影響を及ぼす「中国的思考」の規範的部分を、客観的な立場から理解することと、中国語能力の総合的な上達を二大目的とするゼミナールです。具体的には、中国思想史に関して「現代中国語で綴られた」論説や講演録を精読しています。今年度は、清華大学教授彭林(Peng Lin)氏の『儒家礼楽文明講演録』を教材としました。

 

せっかく中国語の文章と向き合うのですから、教材を「中国語らしく」朗読する練習(特に、講演のことばを再現する練習)にも力を入れています。出席の皆さんにどんどん口を開いてもらい、教材の朗読と日本語訳を進めてゆきますので、予習しないでゼミナールに臨むわけにはゆきません。教材の中には四書五経を初めとして、漢文で書かれた古典文献も多数引用されており、それらの意味や、引用元の古典について調べておくことも不可欠です。区切りの良い所まで読み進めたら、教材の論旨をめぐって意見や疑問を述べ合い、しばしば中国語の表現という問題にも話が及ぶ、賑やかな討論の時間が始まります。

中国思想史演習(水口)
これまでに私のゼミナールに参加した学生さんの内には、荀子(荀況)の性悪説をホッブズ(Thomas Hobbes)の思想と比較するなど、中国思想史に関係する様々な主題で卒業論文を書いた人がいますし、本学の短期語学留学制度(夏休みには台北、春休みには西安)などを利用して中国語能力を更に磨き上げ、各種の検定試験で優秀な成績を収めた人たちもいます。また、ある学生さんは教材の読みにくい部分を、中国語圏からの交換留学生に質問しながら予習したのだそうで、このゼミナールは私の思いがけなかった場面でも、皆さんに国際交流のきっかけを提供しているようです。
【以下は中国語による要約です。このゼミで学べば、これくらいの文章が分かるようになるでしょう。】

 

在華人社會,「中國式思考」至今仍佔有舉足輕重的地位,處處規範人們的行為。從客觀立場理解如此的思考模式,以及提升綜合性的中文能力是本課程的兩大目標。

 

授課內容是精讀關於中國思想史的文章或演講錄。今年以清華大學教授彭林的《儒家禮樂文明講演錄》為教材。由於教材是當代中文,朗讀中文也是本課程的重點之一。透過練習,期使學生能正確掌握演講的語言,開口說出像中文的中文。當中引用不少的古典文獻,找查出典也是預習的功課之一。