人文学部ゼミブログ

2014.02.26

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「為己」の学びを始めてみよう

ブログ投稿者:日本・東アジア文化学科 教授 八木清治

それぞれの個性的なテーマにそったレポート作成
それぞれの個性的なテーマにそったレポート作成
日本・東アジア文化学科の1年次生を対象とする基礎ゼミナール(基礎ゼミ)は、おおむね六名の教員が担当しています。私の基礎ゼミは、毎年度ゼミ生それぞれにテーマを決めてもらい、それを年間の研究課題として取り組むという内容のものです。今年度は「旅」という共通のテーマと関連づけて、各自が「人」を特定し、旅とその人物のかかわりを個別のテーマとして調査・研究を行ってもらいました。人物を特定するのが7月、夏休み期間中を利用してその人物ゆかりの土地や施設を訪れるフィールドワークを行うことを前提に、後期のゼミでは文献資料を活用した調査・研究の成果を報告し合い、各自のレポートを完成させていくというのが一連の流れです。
学生たちによる2013年度末のゼミ報告書の編集の様子
学生たちによる2013年度末のゼミ報告書の編集の様子
こうした試みのねらいについて、私は次のように考えています。

武蔵大学はその教育目標に「自ら調べ自ら考える」ことを掲げていますが、それにはまず自らが何を調べ、どのように考えるべきかについて主体的な問題意識をもつことが必要です。従来の教科書に即した受身の授業から抜け出さなければならないと思います。それにはまず自己の興味や関心を掘り下げてみること、自ら積極的に見たり聞いたり歩いたりしながら調べて考えることを実践していくことが大切なのです。これこそが、高校の勉強とは異なる大学における学びの特長なのです。この基礎ゼミは、そうした高校から大学への学ぶことの転回をはかることを願って行っています。

これまでのレポート集(ゼミ報告書)から
これまでのレポート集(ゼミ報告書)から
基礎ゼミの成果は、年度末にレポートの形で提出されますが、今年度も歴史・文学・思想等の諸分野に及んで、各自の興味や関心にしたがって多彩な内容になりました。全員のレポートは最終的に報告書にまとめて印刷しています。この編集作業にも学生が参加します。

最後に繰り返しますが、大学における学びは、何よりもまず自己のためのものでなければなりません。『論語』に記された「為己」の学びこそ、わが基礎ゼミナールの志です。