人文学部ゼミブログ

2013.01.22

  • 人文学部
  • ヨーロッパ文化学科

イタリア都市の歴史的魅力を探る(坂野正則)

イタリア都市の歴史的魅力を探る(坂野正則)
報告者は準備に余念がありません。
今年度後期の「ヨーロッパの言語と文化演習」では、斉藤寛海・山辺規子・藤内哲也編『イタリア都市社会史入門 12世紀から16世紀まで』(昭和堂、 2008年)をテキストにして、イタリアの都市社会史を勉強しています。我々はイタリアと聞くと、気候が温暖で、料理も美味しく、おしゃれで洗練された生活を思い浮かべることでしょう。その一方で、ローマ帝国が滅亡して以来、19世紀までイタリア半島を統一する国家は登場せず、様々な個性をもった都市が社 会の中心となっていたのもイタリアの特徴です。本書は、イタリア都市の歴史的個性に、都市景観・環境・政治権力・商業・家族と生活文化・宗教活動・宮廷社 会・芸術といった多様な主題からアプローチする可能性を示した力作。日本におけるイタリア都市史研究の水準の高さを知ることができると同時に、十分に内容を理解するためには、読む側にも相応の準備を求めてきます。
 
イタリア都市の歴史的魅力を探る(坂野正則)
質疑応答の1コマ。白熱した様子が写真で伝わらないのが残念・・・
このゼミでは、まず2名ずつ各章の内容についてレジュメを使いながら要約してもらいます。基本的にはテ キストに沿った形での口頭発表になりますが、どのようにプレゼンテーションするかは発表者次第。都市の地図や建造物の写真などを用いながらの発表は、単に内容を理解するだけではなく、いかに内容を伝えるかが試されます。その後、参加者が内容についての疑問点やテーマ全体に関するコメントを述べ合います。都市史を学ぶ大きな魅力の一つは、上に紹介したような様々な切り口を都市という共通の舞台空間で論じることができる点にあります。あまり意見が活発に出ない時もありますが、素朴な問いながらも奥行きのある意見が出る時もあります。最後に、教員から総括コメントと称してイタリア都市への愛着を語ってしまうので すが、たいがい途中で時間切れとなります。
イタリア都市の歴史的魅力を探る(坂野正則)
スーツ着用の懇親会ではなく、就活中なのです。
普段のゼミで話し足りないフラストレーション(もちろん教員のではな く、学生のですが)を解消するために、学期後半に懇親会が行われます。ここでは、ゼミで話し足りなかったこと、時間的にも内容的にもゼミでは話せなかったことを参加者みんなが思いっきり語り合います。今学期一つ残念だったのは、諸般の事情で会場がスペイン・バルとなったことです。イタリア都市を勉強するゼ ミではないのか、という批判の声も聞こえてきそうです。しかし南イタリアは、実はスペインの地中海沿岸部と歴史的には関連が深いのです。さらに、南イタリ アについて今学期用いたテキストではほとんど触れられていなかったので、ゼミの内容を補う意味でもよかったのではないか、と居直れるくらいになれれば、このゼミの成果を十分に吸収したと言えるでしょう。