人文学部ゼミブログ

2012.06.20
- 人文学部
- ヨーロッパ文化学科
≪セーヴル窯≫の歴史(平林和幸)
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セーヴルのコーヒーセット -
セーヴルのティーセット
一番目の目的のためには、各自がその週に行うテキストのフランス語訳をノートに書いてきてもらい、授業中にそれらの訳をみんなで検討し、模範となる訳文を作っていきます。そうして出来上がった訳文と自分が訳してきた文章との違いを比較しながら、どの点に注意すれば、正しい訳文を作ることができるのかについて考えてもらいます。このような作業を繰り返し行うことによって、受講者の仏文 和訳力は驚くほど上達します。
二番目の≪セーヴル窯≫の歴史を通してフランスの美術工芸についての造詣を深める、という点に重要な意味が認められるのは、著名な画家などによって制作された美術作品より一般的に流布されている美術工芸品のほうが当時の流行の特徴を顕著に表わしていると考えら れるからなのです。たとえば、コーヒーカップ一つを取り上げても、そこに描かれた図柄は当時の人々の好みを端的に表わしています。それに対して、美術作品 はそれを描いた画家などの思想が作品の根底にあり、そこに表現されたものは、したがって画家の思想というオブラートによって包み込まれた流行の図柄といえ るでしょう。その時代の特徴は美術工芸品に顕著に表れる所以がそこにあるといえます。
また、コーヒーカップ一つを取り上げてもいろいろと 面白い点が発見されます。どうして東洋のお茶碗と違って西洋のカップには取手が付いているのでしょうか。なぜソーサーが付いているのでしょうか。そして昔のカップでは、ソーサーとカップの容量が同じなのはなぜでしょうか。たとえばヴェルサイユ宮殿にはなぜ中国の壺が置かれているのでしょうか。みなさんの家庭にあるコーヒーカップなどを陳列するキャビネットはなぜ居間や客間にあるのでしょうか。そうした文化の違いを学ぶことが、「フランスの芸術演習」なのです。
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マイセン(花瓶とデミタスカップ) -
ヘレンド(デミタスカップ)