人文学部ゼミブログ

2009.12.11
- 人文学部
- ヨーロッパ文化学科
フランスの思想と文化演習(望月 ゆか)
パスカルの『パンセ』を用い、キリスト教的人間論を学んでいます。パスカルは17世紀のフランスの思想家で、「人間は考える葦である」といった警句や大気 圧の発見者(ヘクトパスカルの単位の由来)としてあまりにも有名です。しかし、彼の思想は現代の日本の大学生がいきなり触れても取っ付きにくい部分があるので、前期は「エニアグラム」という9つの性格分析のワークを補助的に用いました。
エニアグラムはいわゆる血液型判断などとは大きく異なります。まずチェックシートから自分のタイプを探し、そこから自分の気づかない行動の原動力の源に目を向け、とくに弱さや囚われへの気づきから肯定的に自 分を高めていくというものです。弱さや限界の気づきから上昇するという逆説的方法は、パスカルそしてキリスト教的思考パターンの理解に非常に有効です。
夏休みの『パンセ』についての自由レポートをもとにした後期の発表では、学生たちが随分パスカルを理解できるようになり、教師の私もびっくりするほどです。
思想のゼミは、自己理解を深めるためにも理想的です。就職活動のエントリーシートにも自己分析が課されますが、授業での思索・反省はこのような実践面でも必ず役立つことでしょう。思想書は大学卒業後は出会いの機会が殆どないと思います。是非大学時代に触れてみてください。