人文学部ゼミブログ

2008.09.22
- 人文学部
- 英語英米文化学科
英語圏文化演習(川島浩平)

今から2年ほど前に、ある私立大学客員研究員として、家族を伴いアメリカに半年ほど滞在したことがあります。当時9歳だった娘と5歳だった息子は、地元の 公立高校に転入することになりました(アメリカの小学校は、日本の保育園年長組から始まります)。その時の娘の経験を聞いて下さい。
彼女は、毎日スクールバスで学校から帰ると家のトイレに飛び込んで、出てきてはフーと長いため息をついていました。数日経ってからやっとその様子に気づいた私は、「どうして学校から帰ると、いつもトイレに駆け込むの」と尋ねました。「アメリカの学校って、休み時間がないから、いつトイレに行っていいかわかんない」というのがその答え。学校にいる間、トイレに行けなかったとのことでした。
びっくりした私は次の日、学校に赴き、担任の先生に事情を聞きました。なるほど、確かに日本の学校にあるような休み時間がなく、トイレに行きたい生徒は、授業中に席を離れ、「トイレに行きます」という札を出口の扉のところにかけて、自由に用を足しにいく仕組みになっていることがわかりました。ご存知のとおり、日本の小学校では、時限が終わるごとに休み時間が与えられ、トイレにいったり、水を飲んだり、一息いれたりする時間が割り当てられています。これでは、うちの娘が戸惑うのも無理はないと、妙に納得したのを覚えています。先生に日本の制度の説明をし、娘にアメリカの制度の説明をして、次の日からは、娘が家のトイレに駆け込むこともなくなりました。やれやれ。
前置きが長くなりましたが、私が担当する英語圏文化演習は、このときの経験をきっかけとして構想したものです。半年間の滞在期間に、日米の小学校教育のちがいがいろいろと目に付くようになりました。教室の配置やインテリアやザイン、アメリカには日本の学校の職員室がないこと、食堂・カフェテリアでの食事と給食、入学式、運動会、遠足などの年間行事、PTAのあり方など。また大学教育のちがいについては、私自身の留学経験もあり、 いろいろと気になっていました。(写真はある州立大学キャンパスの学生寮。新入生全員に寮生活を要求する方針も、日本の大学と大きく異なります。)そこで、日米の初等・高等教育の比較をテーマに設定しようと思い立ったわけです。
教材としては、邦語・英語の文献資料に加え、各学生にウェブから収集してもらった情報も利用しました。今年度からは、ABC、CBS、NBC、CNN、FOXなどのメディアが配信している動画を積極的に活用しよ うと考えています。現在進行形でアメリカの教育についてのニュースをキャッチし、文献によってその文脈や背景についての理解を深め、受講する学生諸君それ ぞれが、独自の日米比較論を展開してくれることを期待します。この演習での学習、発表、質疑応答によって、一人ひとりが、アメリカの教育制度の実像を明らかにし、それに基づいて私たちの教育制度の長所と短所を浮かび上がらせてくれるでしょう。12月には恒例のゼミ合宿を実施し、各自の成果を競い合う予定です。
彼女は、毎日スクールバスで学校から帰ると家のトイレに飛び込んで、出てきてはフーと長いため息をついていました。数日経ってからやっとその様子に気づいた私は、「どうして学校から帰ると、いつもトイレに駆け込むの」と尋ねました。「アメリカの学校って、休み時間がないから、いつトイレに行っていいかわかんない」というのがその答え。学校にいる間、トイレに行けなかったとのことでした。
びっくりした私は次の日、学校に赴き、担任の先生に事情を聞きました。なるほど、確かに日本の学校にあるような休み時間がなく、トイレに行きたい生徒は、授業中に席を離れ、「トイレに行きます」という札を出口の扉のところにかけて、自由に用を足しにいく仕組みになっていることがわかりました。ご存知のとおり、日本の小学校では、時限が終わるごとに休み時間が与えられ、トイレにいったり、水を飲んだり、一息いれたりする時間が割り当てられています。これでは、うちの娘が戸惑うのも無理はないと、妙に納得したのを覚えています。先生に日本の制度の説明をし、娘にアメリカの制度の説明をして、次の日からは、娘が家のトイレに駆け込むこともなくなりました。やれやれ。
前置きが長くなりましたが、私が担当する英語圏文化演習は、このときの経験をきっかけとして構想したものです。半年間の滞在期間に、日米の小学校教育のちがいがいろいろと目に付くようになりました。教室の配置やインテリアやザイン、アメリカには日本の学校の職員室がないこと、食堂・カフェテリアでの食事と給食、入学式、運動会、遠足などの年間行事、PTAのあり方など。また大学教育のちがいについては、私自身の留学経験もあり、 いろいろと気になっていました。(写真はある州立大学キャンパスの学生寮。新入生全員に寮生活を要求する方針も、日本の大学と大きく異なります。)そこで、日米の初等・高等教育の比較をテーマに設定しようと思い立ったわけです。
教材としては、邦語・英語の文献資料に加え、各学生にウェブから収集してもらった情報も利用しました。今年度からは、ABC、CBS、NBC、CNN、FOXなどのメディアが配信している動画を積極的に活用しよ うと考えています。現在進行形でアメリカの教育についてのニュースをキャッチし、文献によってその文脈や背景についての理解を深め、受講する学生諸君それ ぞれが、独自の日米比較論を展開してくれることを期待します。この演習での学習、発表、質疑応答によって、一人ひとりが、アメリカの教育制度の実像を明らかにし、それに基づいて私たちの教育制度の長所と短所を浮かび上がらせてくれるでしょう。12月には恒例のゼミ合宿を実施し、各自の成果を競い合う予定です。