人文学部ゼミブログ

2008.06.30

  • 人文学部
  • 英語英米文化学科

英語圏文化演習 (平田美和子)

英米比較文化学科の学生は、1年次の入門演習で大学における勉強の基礎を学ぶことから始めて、卒業までにいくつもの演習を履修することになっています。2年次以降は、専門演習を少なくとも3つ履修しますが、専門演習では何を学ぶのでしょうか。
 
私が今年度担当する英語圏文化演習では、「アメリカ大統領・大統領選挙を通してアメリカの社会と文化を学ぶ」というテーマ設定をしています。今年は4年に一度おこなわれる大統領選挙の年で、すでに大統領候補選びの段階から民主党では「オバマかヒラリーか」と白熱した闘いが展開されたことをご存じの皆さんも 多いでしょう。各党の大統領候補はアメリカが直面している問題は何なのかを定義し、それに対する自分の政策を提示して支持を訴えます。今年度の演習の授業 では、アメリカ、日本の新聞、雑誌などに載る記事や論文をフォローすることによって、アメリカ社会の課題を知り、また課題に対処する上で大統領がどのよう な役割をはたしているのかを学んでいきます。
 
ところで、専門演習では、日本語文献だけでなく、英語文献を用いて、要旨をつかみ、分析する力を鍛えていきます。今年、卒業していった私の卒論指導学生たちは、かなり質の高い卒論を書いてくれましたが、専門演習で苦労して英語文献を読んだことが卒論作 成に非常に役に立ったといっていました。専門演習の場で、卒論のテーマ自体をみつける学生も少なくありません。たとえば、2年次に、私が担当したアメリカ史演習でアメリカの都市について学ぶうち、ニューヨークの歴史に興味をもった学生がいました。彼女は3年次に海外研修で実際にニューヨークに行き、卒業論文でセントラルパーク設立の背景について書きました。
 
専門演習では、自分で調べたことを発表する訓練もおこないます。毎週、レポーターを決めて みんなで読んでいる資料について概要を発表するだけでなく、関連した様々な事柄について調べて発表することを通じて、他人に自分の言いたいことをどうしたら的確に伝えられるかを学びます。10月初めには、専門演習で卒論指導学生に卒論中間発表をしてもらいます。これは4年生にとっては何よりも緊張する経験だとのことですが、自分の卒論の長所と欠点を知るよい機会だといえるでしょう。レジュメを用意し、口頭発表のために実際に声を出して練習してきた4年生の発表を聴き、2・3年生は質問し、コメントを述べます。この質問とコメントが驚くほど適切である場合が多いので、4年生はそれらを参考にして、卒論を修正することができます。
 
専門演習は様々な能力を開発することができる場です。真剣に取り組んでいけば、社会人になった時に必要な基礎力が養われていくでしょう。
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