人文学部ゼミブログ

2008.06.02

  • 人文学部
  • ヨーロッパ文化学科

広域ヨーロッパ文化基礎演習(阿部賢一)

「ヨーロッパの都市」というと何を思い浮かべるでしょうか?パリ、ウィーンといった誰もが知る大都市はもちろんのこと、ベルリン、プラハなどの東欧革命を体験してきた都市、そしてあらたにEUに加盟した国の都市としてリュブリャナ、ニコシアなど、非常に多様な空間を思い描くことができるでしょう。
 
ヨーロッパの町を歩いていると、整然とした町並み、塔や聖堂といった教会建築、人々が集う広場などが目に入ってきます。そしてヨーロッパを訪れた人にたずねて みると、「日本の都市とは何かが違う!」という声をよく聞きます。それは、都市計画のあり方、教会建築の伝統、そして空間に対する考え方が異なっているためです。
 
例えば、次の写真を見てください。
広域ヨーロッパ文化基礎演習(阿部賢一)
これは、ある町の「通り名」をあらわす標識です。どこの都市か、分かりますか? 
 
じっとよく見てみると、赤い箇所に「PRAHA1」とありますね。チェコの首都プラハ1区の通りの名前です。興味深いのはその下の部分で、上はドイツ語、下はチェコ語で記載がされています。これは、かつてプラハにはドイツ語を話す人が住んでいたため、ドイツ語が主たる言語で、その後チェコ語が公用語として用いられたという背景があります。このように、 街角のさりげない風景を掘り下げてみるだけでも、都市の文化・歴史が垣間見えてくるのです。
 
この演習では、様々な都市の息吹にできるだけ多く触れていきます。すると、見慣れた通学路の風景も異なって見えてくるかもしれません。