人文学部ゼミブログ

2008.04.11

  • 人文学部
  • ヨーロッパ文化学科

比較美術史演習(香川檀)

比較美術史演習(香川檀)
ちょっとなまめかしいこの絵、どこかで見た覚えはありませんか?
そう、この春、上野の西洋美術館に来ている《ウルビーノのヴィーナス》。いまから400年以上も前にイタリアで描かれた「美の女神」の絵です。よく見ると、不思議なことがたくさんあります。後景の女性たちはなにをしているのか、足元にはなぜ犬が寝ているのか、ヴィーナスの背後になぜカーテンがあるのか。そして、そもそもヴィーナスはなぜ裸体なのか……。実はこのすべてに意味があり、はるか後世の近代絵画はもちろん現代の広告写真にまでも影響をあたえる身体表現の要素をすでにもっているのです。
比較美術史演習(香川檀)
わたしたちのゼミでは、展覧会を実際に 見に行ったりしてこうした美術史の名画を読み解きながら、現代の写真やポスター、現代アートや人形(フィギュア)、建築や服飾など幅広いイメージ文化と関連づけ、参加者めいめいの関心あるテーマを探ってゆきます。その際に大切なのが「比較」する視点です。たとえばヨーロッパの女性美の表現であるヴィーナス像が、日本の美術ではどうなっているのか。西洋絵画を学んだ明治以降の日本の絵画では女性はどう表現されているのか。男性の画家と女性の画家では、描き方がちがうのか、などなど…。
こうして自分たちでテーマを見つけ、画集から絵を探し集め、分析し考える。そしてゼミで発表をして他の学生からの質問や意見を受け、レポートにまとめていくのです。この、自分のことばでイメージを語ることの訓練も、ゼミの重要なねらいです。下の写真は、そうやって書い たレポートの要約を「ゼミ報告書」として学生たち自身がまとめたものです。表紙デザインも、学生が行ないました(ちなみにその学生さんは、現在、広告代理店に勤務して、つい先日もスタミナドリンクの車内広告を作ったそうです)。
 
ヴィジュアルに関心のある人だけではく、ヨーロッパの歴史と文化に興味のある人なら誰でも大歓迎!一緒にゼミを作っていきましょう。