人文学部ゼミブログ

2008.02.11
- 人文学部
- 日本・東アジア文化学科
日本思想史演習(八木清治)

私の担当する日本思想史演習は、「幕末思想を探る」をテーマに研究調査を行なっています。「幕末思想ゼミ」とでもみなしておいてください。
このゼミの内容は、主に幕末の文献を精読することですが、書物を通して問題を拾い出し、それを議論するだけでは興味を持続し、真の知識が身につかないと考 え、3年前からゼミの内容と関係する土地を訪れるゼミ旅行を9月に行なっています。平成15年度は「下田」、16年度は「水戸」、そして17年度は「会津」に行きました。
会津では、まず鶴ヶ城(写真①)の天守閣から会津若松市内を臨みました。城の中は会津の歴史がわかるように展示物が あり、私たちが訪れた頃はちょうど特別展示「新選組と会津藩」が開催中でした。NHKの大河ドラマの「新選組!」で用いられた衣装、小道具類も展示されていました。

2日目は、朝早くから郊外に移築、再建された会津藩校日新館を訪れ(写真②)、午後からは市内循環の観光バス (ハイカラさん号)に乗って、会津武家屋敷、近藤勇の墓、白虎隊の悲劇で有名な飯盛山など、主要な史跡を一巡り。さすがに宿にもどるとぐったりでしたが、 「幕末思想ゼミ」として会津はなかなか見どころの多い土地でした。
学生たちの感想では、かつて白虎隊士も学んだという藩校日新館が良かったとのこと。もとは鶴ヶ城に隣接した場所にあったものですが、現在の地に移築再建され、観光および社会教育の場として活用されています。

17年度の演習では、吉田松陰の『武教全書講録』(松陰が山鹿素行の『武教全書』を講義したも の、その最初の「武教小学」の部分)を学んでいたので、武士教育機関としての藩校のもつ意義が理解できたことは収穫でした。また、会津若松市という町全体 が「幕末の士道」を考えるにふさわしい土地であったことは、書物からだけでは得られない実地の学びになったと思います。旅を通じて学ぶことは、この演習の一つの大きな柱なのです。ちなみに、松陰が宿泊したといわれる清水屋の跡(写真③ 現在は地元銀行の敷地内)がわかり、私の研究活動にも大いにプラスになりました。