人文学部ゼミブログ

2008.02.10

  • 人文学部
  • 日本・東アジア文化学科

入門演習(伊東貴之)

入門演習(伊東貴之)
今年度、私は、日本・東アジア比較文化学科の新1年生を対象とした演習(ゼミ)を担当しています。
 
この演習(ゼミ)では、この学科の新入生として相応しい基礎的な知識を確認し、関連する諸分野への関心を深めると同時に、今後、2年次以降の専門的な演習(ゼミ)で学んでいくための色々なノウ・ハウを身に付けます。
 
資料の調べ方や図書館の活用の仕方、パソコンなどを使った簡単なレジュメの作り方や発表の仕方、レポートの書き方など、今後の学習や研究のための技術的な訓練を積むことも大きな目標です。
 
もちろん、その上で、具体的なテーマに即しながら、参加者が問題意識を共有しつつ、議論を深めていきます。
 
今年は、山内昌之・古田元夫編『日本イメージの交錯-アジア太平洋のトポス』(東京大学出版会)というテキストを素材にして、日本が、海外、特に関係の深 い東アジア諸国や米国から、どのように見られ、その歴史と現在はどのように語られているのか?といった問題を扱います。
 
そこには当然、多くの誇張や誤解も含まれますが、一面で、日本という国の本質の一端を炙り出してもいます。そうした問題を各国の教科書や世論、ジャーナリズムをもとに探り、異文化理解や国際交流をめぐる様々な問題点への考察や理解を深めていきます。
 
翻って、こうした他者からの視線、日本イメージを再検討することを通じて、現代に生きる日本人としてのあるべき自己認識や歴史認識といったものも、皆さんと一緒に探っていきたいと思います。
 
具体的なトピックとしては、昨年の中国における反日デモに象徴されるような反日感情の高まりには、どのような歴史的な経緯があり、政治的な問題が含まれているのか、戦後の国際政治や冷戦がもたらした影や現代のマスメディアの抱える問題点などについても一緒に考えてみたいと思います。
 
もちろん、難しくて硬い問題にばかり取り組むわけではありません。たとえば、各種の文献資料のほか、新聞社や旅行会社、大使館や外務省などのホームページを駆使して、中国や台湾、韓国などの現在の情勢や社会・文化などについて積極的に調べ、適宜、報告してもらいます。サブカルチャーやポップカルチャーなど、各自の関心のあるテーマでも一向に構いません。
 
こうした作業を通じて、隣国についての関心を深めるとともに、基本的な知識を共有したいと思います。