人文学部ゼミブログ

2007.10.24

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  • ヨーロッパ文化学科

ドイツ文学演習(福間具子)

ドイツ文学演習(福間具子)
[写真はオーストリア・アイゼンシュタットのユダヤ人墓地(2006.8.福間撮影)]
「ヨーロッパ比較文化学科」って何をしているところ?

-という質問をよく投げかけられます。よくよく聞くと、「ヨーロッパ」はわかるのですが、それを何と比較するかがわからないようです。もちろん日本との比較をするゼミもありますが、意外と予想がつかないのは、ヨーロッパの中で比較する、ということです。

ヨーロッパはEUとして集合体を形成してはいますが、その中には四国や北海道くらいの大きさのたくさんの個性豊かな国々が共存しているのです。ヨーロッパを横断する国際列車に乗ると、数時間でまったく違う言葉の国に入り込みます。それがヨーロッパの何よりの醍醐味です。

どうしてひとつの言語にしてしまわないの?どうしてひとつの通貨にできないの?-ヨーロッパ比較文化学科の学生は、たいていが旅行か本で知ったヨーロッパの街並みや文化に魅了されて、「とにかく知りたい!」という気持ちで飛び込んでくる子が多いです。彼らの疑問を、一緒に解き明かしてゆくのがこの学科のゼミなのです。

さて、私のゼミではヨーロッパの何を比較しているでしょうか?「ドイツ文学演習」という科目名ですが、ゼミ生の間では「ユダヤゼミ」と呼ばれています。ホロコーストで600万人も殺害されたユダヤ人たち。彼らについて何でも知ろう、ということで、ユダヤ系作家が書いた文学作品やエッセイを、基礎知識を調べつつ、読みといています。

めいめいが自分のテーマを持ってゼミに臨んでいます。ある学生は東欧ユダヤ人と同化ユダヤ人の思想の違いを調べ、ある学生は正統派ユダヤ教とハシディズムの違いを調べています。こうした違いがわからないと、作品を読んでいてもユダヤ人の本質に到達することができません。

武蔵大学のゼミは少人数制なので、ひとりひとりが 大切なメンバーとなります。私のゼミでは「情報の共有」を重視しているので、一人が調べてきた情報を全員が共有できるように心がけていますが、そのために は話しやすい雰囲気が大切です。同じ目線で、ゆっくり言葉のやりとりができる空気がここにはあります。

ある学生がこのゼミの学びについて、こう言ってくれました
—「前に進んでいる気がする。」