経済学部ゼミブログ

2023.01.10

  • 経済学部
  • 金融学科

日経ストックリーグを通じて実践的に投資を学ぼう

ブログ投稿者:金融学科 教授 北村智紀

北村専門ゼミナール第1部(2年生を対象としたゼミ)では、日経ストックリーグに参加しています。これは、中学生・高校生・大学生のための金融・経済学習コンテストです。参加学生が経済や株式投資に触れながら企業を知り、社会を見る目を養えます。「中学」「高校」「大学・専門学校」の各部門で構成されており、「大学・専門学校」部門に出場しています。日経ストックリーグは、2000年に始まり累計約13万人以上の学生が参加する大規模なコンテストです。

ゼミでは、3~5名でチームを組み、投資テーマを設定して、テーマに沿った株式ポートフォリオを組み、学んだことをレポートにまとめて提出します。自ら考え主体的に取り組む力、チームワークやコミュニケーション能力を高めることも目標とします。

前期は基礎学習です。テキストなどを利用して、証券市場の仕組み、企業分析の方法や、株価がどのように決まるかを学びます。ここで学んだことは、実は知らない間に将来いろいろなことに役立ちます。例えば、将来、自宅を購入する際に多くの人が住宅ローンを借りますが、住宅ローンの返済額を求める式もここで勉強した内容の応用です。

後期は実際に株式ポートフォリオを構築します。自分たちの関心・問題意識から投資テーマを設定し、テーマに沿った株式ポートフォリオを構築します。本来、証券投資はテーマに沿って行うべきではない、と言われています。しかしここでは、日経ストックリーグの伝統的な進め方に従って、社会的な問題を解決するような投資テーマを決めます。ここからが、普段の授業とは違うところで、チームで何がいいのか主体的に考えます。テーマが決まりますと、次は、テーマにあった銘柄を選ぶ作業です。テーマが良くても、選んだ銘柄がテーマとは関係ないものだと、いったいテーマは何だったんだろう、という話になってしまいます。現実の投資でも、投資のアイディアをどう実際のポートフォリオとして実現するかは、プロの腕の見せ所でしょう。日経ストックリーグでは、投資テーマに沿った銘柄を選ぶために、複数段階のスクリーニングを行います。その際に、経営戦略や財務分析などの、これまで勉強した知識を使います。最終段階はポートフォリオ構築です。ここでファイナンスの知識を使います。リスクとリターンでみて効率的なポートフォリオを構築します。

他のチームがどのように投資テーマを決め、銘柄を選んでいるかを知ることは、自分たちのチームの進む方向を決める重要なヒントになります。そこで、北村ゼミでは東北学院大学経営学部の学生さんと合同ゼミをオンラインで実施しました。自分たちの考えを発表し、テーマを選んだ理由やスクリーニング方法などについてお互いに議論を行いました。合同ゼミはプレゼンスキルを磨くいい機会にもなります。

最後はレポート作成です。なぜそのテーマが良いのか、独自な点は何か、テーマを実現する銘柄をどのようにスクリーニングしたのか、構築したポートフォリオの値動きやそれを見て気がついたこと、学んだことをレポートにまとめます。

日経ストックリーグでは、自ら課題を見付け、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力が求められます。高校での勉強や大学の普段の授業とは異なる点も多くあり、最初は戸惑うかもしれません。しかし自分たちで考えて解決するのがゼミのいいところです。チームで取り組むことを通じた協調性や、独自の運用戦略を考案してアピールする力は、就職活動でも役に立つものと思います。