経済学部ゼミブログ

2012.07.23

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「書く修業」もお忘れなく

ブログ投稿者:経済学科 攝津斉彦

「書く修業」もお忘れなく
ここは文学部系のゼミなのか?というようなタイトルですが、れっきとした経済学部のゼミです。さて、「ゼミで磨かれる能力は何か?」という問いにたいして、グループワークを通じて涵養されるコミュニケーション能力、研究成果を口頭報告するためのプレゼンテーション能力の2つ、と答えるひとが多いのではないかと思いますが、私のゼミ(2年生を対象とした専門ゼミ1)では、グループワークにはあまり力を入れず、タイトルに掲げた「書く修業」をやっています。
 
これは単なる独断と偏見でしかないのかもしれませんが、日本の国語教育はどちらかというと読むことに偏っていて、書くことにあまり力を入れていないように思います。そのせいか、大学3年生、4年生が書いたものであっても、非常に読みづらい、時に意味不明な文章になっていることがよくあります。
 
文章を書くという作業は、自分の考えを他人にわかるように説明するという点では、口頭でのプレゼンテーションと大きな違いはありません。しかしながら、文章 を書くことの巧拙は、プレゼンテーションの巧拙以上に差がはっきりと出るというのが私の持論です。 文章の上達には、ある程度「堅い」文章を書くための基礎的な知識を早い段階で身につけて、後はひたすら書くことが大切だと思いますので、4年生での卒業論文執筆をにらみつつ、2年生の段階でこのような修業に取り組んでもらっている次第です。
 
修業は、私が決めたテーマについて、月1回のペースでゼミ生のみなさんに2,000字から3,000字程度のエッセイを書いてもらい、それを私が添削するという形式で進めています。最初は自己紹介文や、武蔵大学の良いところ、悪いところといった身近なテーマを取り上げ、そこから少しずつ一般的なテーマ(たとえば少子化の時代をどのように生きていけば良いかなど)へと進んでいきます。
 
最初は、みんな無茶苦茶なことを書いてくるのではないかと危惧していたのですが、意外なことに(ゼミ生のみなさん、申し訳ありません)、非常に文章のうまい人が何人もいて驚きました。たとえば、「武蔵大学の悪いところとその解決策」というテーマでは、本学のかなり本質的な問題点を自身の経験に即して指摘したうえで、具体的な解決策を示した説得力のある文章を書く人がいました。その一方で、(こちらは予想通り?)話し言葉 と書き言葉の違いや、段落の分け方がよくわかっていなかったり、言葉の意味を誤解していたりというケースもありました。それでも、たった4ヶ月の修業で、 ゼミ生のみなさんの文章力はかなり向上したように思います。
 
ゼミ生のみなさんにとって、この修業はとてもきついはずです。しかし、その成果は確実にみなさんの血肉となり、将来かならず役に立ちます。みなさんには、何とか修業を乗り切ってもらい、卒業時には「書ける人」になっていてほしいと思います。