経済学部ゼミブログ

2012.07.19

  • 経済学部
  • 金融学科

工場見学から会計を読み解く

ブログ投稿者:金融学科 海老原崇

工場見学から会計を読み解く
6月28日(木)に、1年生の教養ゼミの学生たちと工場見学に行きました。今回は、同じ金融学科の安達ゼミ、豊田ゼミと合同で、花王川崎工場とアサヒビール神奈川工場にお邪魔しました。私が研究している会計は、一般に「企業が行う経済活動を主として貨幣額で測定・記録・報告するためのシステム」と定義されます。つまり、会計は企業の経済活動を貨幣額で描写する写像です。したがって、会計を理解するためには、企業が行っている実際的・具体的な経済活動の理解 が必要不可欠です。今回の工場見学では、今後の学習の手助けとなるために、学生の皆さんに実際的・具体的な企業活動を理解してもらうことに重点を置きまし た。
 
アサヒビールの工場見学では、平日の昼間にもかかわらず、生産ラインがストップしていたことに一同驚きました。理由を伺うと、梅雨の時期は まだビールの需要が少ないために出荷調整をしているとのことでした。梅雨が明けてビヤガーデンが開店するころには、休日返上でラインをフル稼働するとのこ とでした。このような生産調整は、可能な限り新鮮な製品を消費者の手元に届けるために行っていることですが、企業の在庫管理とも大きく関係しています。在 庫削減と在庫管理は、会計学的にも大きな問題です。過剰な在庫は保管費用・金利・保険といった在庫維持費用だけでなく、古くなった在庫を廃却した際の棚卸 減耗といった陳腐化費用を発生させ、企業の資金繰りを悪化させます。適切な在庫管理は、企業の利益や資金繰りを改善させる効果があります。
 
1年 生後期のプレ専門ゼミナールにおいて、海老原ゼミでは実際の企業経営をシミュレートする「ビジネス・ゲーム」を行います。これは、チームごとに精密機械を 製造・販売する企業を仮想的に経営し、その業績を競うゲームです。実際の企業と同様に、在庫管理や資金繰りがゲームを制する重要なポイントになります。今 回の工場見学でどれだけ実際の製造業の現場を理解できたかが、後期のビジネス・ゲームの成績を左右することになるでしょう。