経済学部ゼミブログ

2009.11.27

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ODAの現実を自分の目で見る

ブログ投稿者:経済学科 東郷賢

私の専門ゼミでは開発経済学を勉強しています。最近は主に政府開発援助(ODA)のことをテーマに学生諸君に研究をしてもらっています。そこで今年(2009年)の夏、3年生と私でODAの現状を確認するためにフィリピンに行ってきました。
 
フィリピンは東南アジアの他の国、例えばマレーシアやタイなどに比べ成長のスピードが遅い国です。貧困の解消のためにも、また成長を促進するためにも ODAは必要だと思われます。しかし、「日本のODAは東南アジアの成長促進の一助となっている」との主張もある一方で、「本当に現地の人の助けになっているのか?」、「かえって発展を阻害している」などの批判もあります。本当のところは、自分の目で見て判断するしかありません。
 
国際協 力機構マニラ事務所のご厚意により我々は「農地改革インフラ支援計画」、「スービック港湾開発計画」、「中部ルソン高速道路建設」の3つのプロジェクトを 視察することができました。これらのプロジェクトはマニラ郊外にあるため、マニラの中心地にあるホテルを朝5時に出発し、帰ってきたのは夜7時と大変な強 行軍でした。
フィリピンでは、スペイン植民地時代から続く大土地所有が残っているため、地方の農民の多くが小作農で貧困状態にあります。この人々に農地を提供し自作農を創出していくのが農地改革です。実は日本、韓国、台湾も農地改革を経験し、成長しているのです。
ODAの現実を自分の目で見る
日本の「農地改革インフラ支援計画」プロジェクトは、この新たに 自作農になった人々の生産性を上げるために、灌漑施設や舗装道路などのインフラ提供や農業協同組合の組織強化などを支援するプロジェクトです。上の写真 は、このプロジェクトに協力されている日本のコンサルタントの方から、プロジェクトの概要や効果の説明を現地の方と一緒に受けているところです。お話によれば、このプロジェクトにより自作農の所得が35%も上がったそうです。