経済学部ゼミブログ

2008.06.07

  • 経済学部
  • 金融学科

教養ゼミで思うこと

ブログ投稿者:金融学科 大野早苗

新学期が始まって早くも2カ月が過ぎました。新入生も徐々に武蔵の生活になじんできたように思えます。 金融学科の教養ゼミ(1年生が履修するゼミ)では、学科共通のテキスト『金融って何だろう』を使って授業を行いますが、私が担当する教養ゼミでは、私がテキストの内容に関する講義を行った上で学生との間で質疑応答をするというスタイルをとっています。質問をするという行為は自分にとって疑問を明らかにするだけではなく、他の学生にとっても理解を深める機会につながるため、学生からの質問は重視しています。また、質問をするためには相当の集中力が必要となるので、質問ができる学生はそれだけ講義中に頭をフル回転させていると言えます。
教養ゼミではまた、講義の内容について課題を出し、考えてきた内容を発表してもらっています。前回の講義では、「ある銀行を1つ選び、その銀行が提供するオンライン・バンキング・サービスの特徴を調べなさい」という課題を出しました。ある調査機関が行ったオンライン・バンキング・サービスに関するアンケート調査によれば、最もオンライン・バンキング・サービスが利用されているのはイーバンク銀行とのことでした。イーバンク銀行? 街中に支店もない銀行なので知らないという学生も多かったのですが、調べてみると、懸賞・アンケートで貯めたポイントを換金できたり、ネットショッピングのサイトに紹介されている特定の商品を購入するとキャッシュバックされるといったサービスがあり、支店営業をベースとする既存の銀行のサービスと比較すると、ネットならではのサービスが充実しています。
イーバンク銀行以外にもオンライン・バンキング・サービスを提供している銀行はありますので、他の銀行についてもオンライン・バンキング・サービスの特徴について調べてもらうことにしました。各自調べてきたことを報告してもらったところ、ネットショッピングの中でも旅行を充実させている銀行があったり、資産運用管理ツールが充実した銀行があったりなど、目玉となるサービスが銀行によって様々で、私自身、各行のオンライン・バンキング・サービスの詳細をつぶさに知っているわけでもなかったので、課題を出したこちらが勉強になりました。また、オンライン・バンキング専門銀行と既存の銀行の預金金利を比較してくれた学生もいました。オンライン・バンキング専門銀行のほうが預金金利は高めに設定される傾向が見られる(支店の設置費用というコストがかからないため金利で競争できる余地が生まれます)のですが、この学生の報告によれば、満期毎に比較してみると、満期の短い預金ではオンライン・バンキング専門銀行のほうが高めに預金金利が設定されているが、満期の長い預金になると既存の銀行の預金金利のほうが上回るとのことでした。このような比較をしてみると、銀行がどのような戦略を考えてこうした金利設定を行っているのか、などと話はさらに膨らんできます。
武蔵大学では1年生からゼミを履修することができますが、ゼミの良さは、自主的に学ぶことの面白さを体験できることにあると思います。学生が学ぶことの面白さを発見し、自分が成長していると実感してもらえるように、いま、次の課題を考えているところです。