瞬間への執着、
プロの写真家として活動する

人文学部 ヨーロッパ文化学科
村山 莉里子
2022年4月入学

#人文学部 #課外活動 #在学生
高校生の頃から、本格的に写真家として活動し、2021年には自身の作品が『銀杏BOYZ』のレコードジャケット写真に起用された村山さん。
写真との関わり方や学生生活についてうかがいました。

写真を好きになったきっかけ、のめりこんでいったきっかけは何ですか?

撮影:村山莉里子
元々母が一眼レフを使って私のことを撮ってくれていて、幼い頃からカメラは憧れの道具でした。中学生の頃に誕生日プレゼントとしてカメラをもらってからは、自分の好きなものを写真に撮って残すようになりました。
特に、二人の妹を一番身近に撮り続けていて、写真を好きになったのも、続けていきたいと深く思ったのも、妹の存在が大きいです。妹とは歳が離れているので、コロコロ変わる表情や予測できない動き、泣いたり笑ったり急に走ったり転んだり、そういう姿を瞬間的に写真に残しておけることが楽しかったです。 自分よりも遥かに速いスピードで成長していく妹たちの姿が眩しくて、喜ばしくて。でも同時に寂しくもあり、写真を残しておけば、この時間が確かに存在していたことを証明できる!という思いもありました。 自分の写真の核にある「瞬間への執着」はこの経験で培われたものだと感じます。妹たちの成人式で振袖姿を撮るのが楽しみです。

これまで写真家としてどんな活動をしてきたのか教えてください

撮影:村山莉里子
元々は好きで撮っていただけなので、人に見せたりはしていませんでした。
中学校を卒業する頃に、友達から卒業アルバムの個人写真を撮って欲しいと言われ、その時に初めて自分のためではなく誰かのために写真を撮ることを経験しました。その友達が音楽活動をしていたので、その後もアーティスト写真やジャケット写真を撮らせてもらい、自分の写真を誰かに見てもらえることが嬉しいことだと知り、これからも撮っていきたいと思うようになりました。
転機となったのは、銀杏BOYZの「GOD SAVE THE わーるど」のジャケットに自分の写真を起用していただいたことです。 ずっと好きで聴いていたバンドだったこともあり、起用されることになった時には本当に驚いたし信じられなかったです。いろんなCDショップやサブスクで自分の写真が使われたジャケットを目にするたびに、本当に嬉しかったです。今でも私の写真をそれで知ったと言ってくれる方に出会うことがあるので、大きなことだったなと思います。
同時期に、中学生の頃からずっと聴いていたミュージシャンの小山田壮平さんを撮影させていただき、夢が一つ叶った瞬間でした。
大学1年生の頃には個展を開き、成人するタイミングでは、同級生の振袖姿を何人も撮りました。身近な大切な人の節目に立ち会わせてもらえることが写真をやっていて良かったと思える瞬間です。
今はweb連載記事の写真やバンドのライブ写真、アーティスト写真、映画のスチール撮影など、周りの人に恵まれて様々な分野で写真を撮らせていただいています。
様々な場面で写真と関わる中で、「莉里子に撮ってもらいたい」と言ってもらえることが、やはり一番嬉しいです。

武蔵大学の魅力を教えてください

撮影:村山莉里子
江古田の街に根付いていることと、学生数が多くないこと、キャンパス内の木々の木漏れ日が武蔵大学の魅力だと思います。キャンパスに川が流れていたり、大きな木があったり、落ち着く雰囲気が好きです。特に三号館は練馬区の登録文化財に指定されていて、大きな木を囲むように建設された校舎のおかげで、どの時間帯でも木漏れ日が綺麗に窓から入ってきていて、いい建築だなあと思います。
私は大学内で写真の活動をしていることをあまり公にした記憶がないのですが、今回広報部からインタビューの依頼をいただいて、「なんで知ってるの!?」と驚きました。それもやはり学生数の少ない大学だからこそなのではないかなと思います。
また、江古田には日本大学芸術学部と武蔵野音楽大学があることもあって、昔からある学生街の雰囲気がとても過ごしやすいです。写真の活動をしていることで日芸の写真学科の友達もでき、友達の展示に遊びに行ったりイベントに誘ってもらったりして、他大学の交友関係が広がったのは、物理的な近さがとても大きかったです。大学からは便利な池袋が近いけど、なんだかんだいつも江古田周辺にいて、大学終わりによく江古田で遊んでいます。

大学生活はどのように過ごしていますか?学生生活と写真家の活動を両立するのは大変ですか?

撮影:村山莉里子
大学では人文学部ヨーロッパ文化学科に所属していて、全く写真に関係ないことを勉強していますが、あまり両立に苦労は感じていないですし、大学で勉強したことが写真に生きていると感じることが多くあります。
3年生の専門ゼミナールでは、哲学と差別や人種についての二つのゼミに所属しています。
哲学のゼミでは、死と幸せについてを学んでいて、私は「写真と死」をテーマに発表を行いました。写真について哲学的に考察して発表する経験は、写真に対する自分の考えを整理する機会にもなって、有意義でした。同じゼミ生は好きな映画や、音楽、小説アニメなどそれぞれ多様な切り口から死と幸せについて考察していて、興味深かったです。
差別や人種についてのゼミでは、歴史を辿っていく中で現代社会についての議論になることも多く、自分自身に根付いている無意識のバイアスにも気づく大変良いきっかけになりました。写真を撮影する中で、現代のことに目を背けたり知らないままでいることは、無責任な態度であると思うし、何を学んで、どんな考えを持ち、何に怒り、問題意識を持っているのかは必ず写真に表れると思うので、内省しながら学べている大学生活はとても楽しいです。

将来のこと、今後の予定など今思っていることを教えてください

絶賛考え中です!
実は、2年の後期から3年の前期まで1年間休学して自由に過ごしました。モンゴルの遊牧民と1週間一緒に暮らしたこともあります。毎日馬に乗って、草原をかけて、羊の解体を手伝い、ゲルを建て、夜には見たことない数の星を眺めていました。遊牧民の逞しさに圧倒され続けた1週間でした。
「遊牧民にとって、一箇所に留まることは退廃」と教えてもらい、その生き方が本当にかっこいいと感じ、私もそうでありたいと思っています。写真を続けていきながら、どの土地でどんな生活を送ることが自分にとって楽しい選択なのか、今は探している途中です。
なるべく遠回りをして、無駄を大事にして、意味のあることばかりを追い求めないゆるりとした気持ちでいられたら良いなと思います。
楽なことより楽しいことを選択し続けたい!いつもご機嫌で素直な人でありたいです。