ビートボックスで、
アイデンティティに
悩む人達を繋ぐ

人文学部 ヨーロッパ文化学科
長谷川 大知(Viva)
2017年4月入学

#人文学部 #課外活動 #国際・留学 #卒業生

「Viva」の名義でビートボクサー兼シンガーソングライターとして活躍されていますが、歌やビートボックスをはじめたきっかけを教えてください。

母がフィリピンパブで働いており、小さい頃から店のカラオケでよく歌っていました。自らマイクを取りに行くくらい歌うことが好きでしたね。高校から大学卒業までは、ずっと軽音楽部でボーカルをやっていました。
ビートボックスは、小学生の頃にYouTubeで出会い、趣味としてやっていましたが、高校に入ってからは軽音楽部の活動に夢中になっていました。それからしばらくしてコロナ禍に入り、何もやることがなくなった時に、YouTubeでとあるビートボックスのタッグチームの動画に出会い、再度魅了されました。もしかしたらビートボックスを取り入れることで、自分の音楽の可能性を広げられるかもしれないと思い、練習を再開しました。

大学在学中は留学、インターン、通訳、休学して英語教師養成学校を運営する会社での勤務など、様々な活動に精力的に取り組まれていたそうですね。

様々なことにチャレンジをする姿勢は、ブライアン・マサハート先生から学びました。彼の授業のスタイルがよくある講義ではなく、外部のイベントへ出席する課題が出たり、授業外の学生と交流したり、外部の講師の方や団体に来てもらったりと、アクティブな学びと人との出会いを提供してくれました。
実際に、授業で出会った人達からたくさん刺激をもらいましたし、インターンや通訳の活動にも繋がりました。成長したいという気持ちより、新しい場所に足を運ぶこと自体が楽しかったので、いつの間にかいろいろなことに挑戦できていたのだと思います。

卒業制作では「Music For People Project」に取り組まれたとか。どんなプロジェクトか教えてください。

「Music For People Project」は、ビートボックスで作った音楽を通して個人のストーリーを届けるプロジェクトです。フィリピン人と日本人の間に生まれ、日本に住んでいるジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレン(JFC)のストーリーに焦点を当て、彼らがどんな感情を抱き、どんな道を辿ってきたのかを伝えるために、口から出る音だけで音楽を作り、ミュージックビデオ制作やイベントなどを行いました。
母がフィリピン人の私も、JFCの当事者です。食文化の違いで友達に冷たい目で見られたり、母も私も分からない難しい日本語の書類を出さなければならなかったり、幼いころから周囲に話しづらい様々な悩みを抱えていました。そういった感情を音楽にのせて共有し、また誰かの経験に共感することで、JFCやアイデンティティに悩む人達の心を癒やすことができれば、と思い取り組んでいました。曲作りを通して、私自身の気持ちも救われていきましたね。

卒業後も、音楽を通してJFCの支援に携わっていると伺いました。

現在は音源作成の活動に力を入れつつ、音楽イベントを開こうと考えています。その初の試みが、JFCを支援するNPO団体「JFCネットワーク」と共催で行う、日比交流音楽フェスです。「日比を越える、音楽で。」をモットーに、日本とフィリピンの国境だけでなく、フィリピン人、日本人、JFCといったカテゴリーを越えて交流することを目的としています。また、イベントの収益の一部はJFC支援の活動費に充てられるチャリティーイベントにもなっています。
音楽を楽しんでもらうことはもちろん、JFCの問題について知ってもらったり、このイベントがより良い人との繋がりと社会発展への一歩となるよう、本気で準備に取り組んでいます!

今後の目標を教えてください。

具体的な目標としては、まずワンマンライブができるくらいのアーティストになりたいです。同時に、今回の日比交流音楽フェスのように、音楽を通して社会問題の解決に貢献できるような活動をしていきたいと考えています。社会問題にはどうしても取っ掛かりにくいところがあるかと思いますが、音楽にのせて伝えることで、より多くの人に知ってもらうきっかけになれば良いなと思います。

武蔵生へのメッセージをお願いします!

大学という場所だけでなく、大学生としての「期間」を大いに楽しんで、やりたいことに取り組んでいただければと思います。勉強やバイトも大切ですが、やはり自分が熱を持っていることに真正面から向き合うのはとても良いことだと思います。時には周りに反対されるされるかもしれませんが、人生は一度きりですし、自分には自分の好きなことをする権利があると思います。
やりたいことがまだない場合は、新しいことを始めたり、新たな場所に飛び込んでみるのも良いと思います。自分の視野が広がること自体が楽しく、いい刺激になるかと思いますし、もしかしたらその過程で好きなことが見つかるかもしれません。
ぜひ、自分の好きなことに時間を充ててみてください!