温かな社会を目指し、
仲間と最良の国際協力を追究

社会学部 社会学科 3年
池亀 廉
2022年4月入学
学生国際協力NGO FEST TOKYO 13期代表

#社会学部 #課外活動 #国際・留学 #在学生

学生国際協力NGOであるFESTに入り、代表になられた経緯を教えてください。

もともと慈善活動、特に東南アジアの発展途上国といわれる国々には関心がありました。高校時代の授業や生活の中で、現地で起きている問題などの情報に触れる機会はたくさんありましたが、映像や人から聞く話には限界があり、実際に渡航して肌で現地の状況を感じてみたいと思ってFESTに入りました。
代表になった経緯ですが、実は1年次の秋、団体の期の変わり目に次期に残るのはとうとう私1人だけだったからです(笑)。パンデミックの影響で団体として渡航できない期間が長く続いており、新歓も不発、先輩方や仲間も辞めていきました。そんな状況でしたが、絶対渡航したいという熱意はありましたし、先輩と会う中で団体や理念を残したいとも思っていたので、ここは一丁、一肌脱いで挑戦してみようという気持ちでした。

FESTのビジョン「世界から向こう見ずな支援をなくす」に込められた思いを教えてください。

イベントなどで団体のビジョンを広める活動も行う
FESTでは、自分たち本位の支援を行う姿勢に問題意識を感じており、本当に相手が求めていること、本当に相手のためになることをしたいという思いで活動しています。
向こう見ずな支援というのは様々あるのですが、現地のニーズに合っていない支援、長期的な見通しのない支援などが挙げられます。例えば、現地の住民から井戸を整備してほしいという要望があったとします。私たちが資金を集め、現地で業者を手配し建設したとしても、撤退した後、同じような問題が再び起こったときに住民たちは自力でその問題を解決できるでしょうか。支援者がいなくても、現地の人びとが自立して問題解決のサイクルを回せることが理想の状態と考えています。

池亀さんが代表の時に、4年ぶりに渡航が再開できたそうですね。準備はどのように?

2022年11月ごろから、フィリピン・セブへの渡航に向けて本格的に準備を始めました。現地ではいつ何がおきるかわかりませんので、様々な可能性を考えながら綿密な準備が必要です。前回の渡航から期間が空いていることもあり、ノウハウを先輩方から伝授してもらいつつ、安全対策や現地での行動の仕方、支援プロジェクトの計画、これからの団体の基盤ともなるルール作り等を一から行いました。
何より最初の頃は私1人しかいませんでしたので、メンバー集めにも注力しました。奇跡的に他大学の学生2人が加わってくれて、ほぼ毎日集まっては必死になって準備を進めていましたね。人数が増えてからも自分が折れたらこの団体は終わりという思いの日々は苦しかったですが、一緒に頑張る仲間の存在はもちろん、住民に喜んでもらいたいという気持ちが私を踏ん張らせてくれました。

セブでの活動や感想を教えてください。

セブの地を踏んだ時の感動は今でも覚えています。現地では、団体のリスタートにあわせ、これから先数年活動する新支援地を選定するための調査を主に行いました。事前に決めた活動条件と調査項目を手に、役所に紹介いただいた地域を5つほどまわりました。その後、その地域の合意と役所の承認もいただき、関係構築やニーズ調査を終え、2024年5月現在、ついに大型のプロジェクトが開始するというところまで来ています。
印象的だったのは、現地の方々の温かさと日常を楽しむ姿です。私たちが彼らの生活を「どうにか変えてやろう」と思うのは大きな間違いだと改めて思いました。陽気に、人とのつながりを強く持つ彼らを見習わなければと感じました。

現地の方の信頼を得るために意識していることはありますか?

何よりもまずはリスペクトが必要です。いきなり知らない国の人が家に入り込んで撮影などあれこれはじめることを想像してみてください。私たちは現地の生活圏に入り活動するので、その点は細心の注意を払うようにしています。英語だけでなく、ビサヤ語(現地のことば)を使った資料を作ることもあります。住民主体のスタイルを取るFESTのプロジェクトにとって彼らのやる気はとても重要なので、よりたくさんの人と様々な話をして信頼関係を構築するようにしています。

FESTのメンバーとのコミュニケーションで気を付けていることはありますか?

私が代表になってから、延べ24人のメンバーが集まりました。普段はバラバラの大学に通っている分、対面で活動する機会を大事にしています。相手の雰囲気や人となりが良く分かり、ミーティングやコミュニケーションがスムーズに進むので、得られる対価は大きいなと思います。

今後の展望を教えてください。

これまでの活動を通して、社会貢献活動への関心を高めるとともに、周りにはとても素敵な活動をされているNGOやNPO、個人で活動されている方もたくさんいることを知りました。しかし同時に、日本社会のチャリティー意識はとても低く、ソーシャルセクターも弱いとされています。
今後も困っている人を助ける、当然のことを当然にできる人間でありたいと思うと同時に、これまでの学びや経験を生かし、自分にできる形を探りながら、社会問題や課題解決に取り組む活動を応援し、日常からみんながみんなを助け合う温かな社会を目指したいと考えています。
※社会課題解決を目的とした組織・団体の総称