社会学部ゼミブログ

2026.10.05

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現代文化展 2026~愛と消費のはざまで~

ブログ投稿者:メディア社会学科 准教授 菊地 映輝

 2026年8月28日(金)・29日(土)の2日間、菊地映輝ゼミの4年生17人が、新宿眼科画廊で「現代文化展 2026~愛と消費のはざまで~」というポップアップ展を開催し、2日間で100名以上の方にご来場いただきました。現代文化展は、毎年テーマを変えながら、現代文化にまつわる様々な事象を社会学的に批評した「作品」を展示するイベントです。
 なぜ社会学部のゼミで展示イベントを開催したのでしょうか。指導教員の私としては、学生の皆さんに論文と作品という2つのメディアの違いを意識してもらい、自分が学んだことの表現方法のバリエーションを増やしてほしいという狙いがありました。また、学生のうちから自分のアウトプットを広く社会に見てもらう機会を設けることで、自らの思考や思想を表現できる人材として社会に巣立っていってほしいという願いもあります。加えて、菊地映輝ゼミは「先端デジタル文化論」を学ぶゼミです。今日のデジタル文化では、誰もが発信者になれるし、それこそがこの文化の特徴だと私は考えています。ですから、先端デジタル文化を学ぶ学生たちが、今日の文化のフォーマットでなにかを表現してみるということは学習のプロセスとして必須だとも考えました。
 
 さて、今年の現代文化展のテーマは「愛と消費のはざまで」でした。アイドル、VTuber、推し活、マッチングアプリ、ネットミームなど、現代社会には、私たちが心を強く動かされ、時間やお金をかけて夢中になっている対象が沢山存在します。しかし、私たちがそれらに注ぐ熱量は、本当に個人の内面から湧き上がった「愛」によるものなのでしょうか。それとも、私たちは知らず知らずのうちに、社会を覆う「消費」のトレンドに乗せられているにすぎないのでしょうか。社会学者C.W.ミルズは、個人的な事柄と社会的事象とを結びつける思考を「社会学的想像力」と呼びました。この言葉に依拠すれば、本展は、個人的な「愛」と社会的な「消費」とを結びつける社会学的想像力を、各学生が作品を通じて表現したと言えるでしょう。
 
 たとえば、1人の学生が作成した「薄っぺら」という作品は、VTuber(「バーチャルユーチューバー」の略)をテーマにしたものです。VTuberは、現実の身体を持ちながらも、「ガワ」を被って存在する表現者です。顔出しをせずとも、世界に自身を発信できる素晴らしい活動形態と言えます。しかし、人気が高まるにつれ、視聴者はそのVTuberのより多くを知りたくなります。年齢、居住地、過去の活動、素顔、「中の人」…… 。配信のコメント欄には、何気ない好奇心から生まれた無数の質問が流れていきます。「薄っぺら」という作品では、VTuberのイラストが描かれたポストイットに、実際の配信を参考にした視聴者からの質問が書かれています。視聴者からの質問は、一つずつは些細なものかもしれません。しかし、その積み重ねによってVTuberのキャラクターを覆う「ガワ」が少しずつ剥がれ、やがて隠されていた「中身」が姿を現します。
 今年の現代文化展では、上記のような各学生の問題意識が作品という形に姿を変え、17点展示されました。来年度も現代文化展は開催予定です。来年はどのようなテーマになるか乞うご期待です。
 
■開催概要
名称:現代文化展 2026~愛と消費のはざまで~
日時:2026年8月28日(金)~29日(土)12:00~20:00(29日は17:30まで)
会場:新宿眼科画廊スペース地下
主催:武蔵大学社会学部菊地映輝ゼミ
入場料:無料