社会学部ゼミブログ

2026.06.26

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自分たちの問いをかたちにする——社会学方法論ゼミでの挑戦

ブログ投稿者:社会学科 准教授 苫米地 なつ帆

 今回は、「社会学方法論ゼミ1」の様子を紹介します。

 社会学方法論ゼミ1は、2年次の春学期に履修してもらうゼミです。1年次に社会学初年次基礎ゼミ、応用ゼミにて基礎固めをしたうえで履修してもらうことになるのですが、一生懸命取り組めば取り組むほどに、ゼミ活動において役に立つスキルを高めることのできるものになっています。
 
 苫米地が担当しているゼミでは、社会調査のなかでも量的調査の実習をおこなっています。量的調査は、調査票(よりなじみのある言葉を使うならばアンケート用紙)を用いておこなうのが一般的です。授業で社会調査の知識を学ぶだけでなく学生自身がテーマを考え、調査を設計し、データを集めて分析するという一連のプロセスに取り組むのが大きな特徴です。社会の出来事や身近な疑問を「感覚」ではなく「データ」によってとらえる力、そしてそれをもとに筋道を立てて考える力、考えたことをアウトプットする力を着実に身につけていくことを目指しています。
 
 現在は、そのスタートとなる「研究テーマの設定」、そして設定したテーマや仮説に対応した「研究のゴールの設定」に取り組んでいる段階です。今年度のゼミでは個々人の関心にもとづきグループが8つできました。5月の中旬以降グループごとに相談してもらってテーマの絞り込みをし、5月末のゼミにてそれをプレゼンしてもらいました。そしてそこでのディスカッションをもとに研究テーマについて再度練り直したうえで、6月中旬には研究のゴールのイメージ図をプレゼンしてもらいました。
 「研究テーマの設定」のプレゼンでは、どのグループもしっかりと準備されたスライドを使って発表しており、テーマの背景や問題意識がとても分かりやすく整理されていました。「なぜそれを調べたいのか」「どんなことを明らかにしたいのか」が丁寧に言語化されていて、見ていて頼もしく感じました。
 発表後には質疑応答の時間をとりましたが、予想以上にとても盛り上がりました。ただ感想を述べるだけでなく、より具体的で建設的なコメントが多く聞かれたことも印象深かったです。また、「そのテーマを調査票に落とし込むとしたらどのような質問になるのか」等、次のステップを意識した発言も複数出ていました。本来であればこれから意識づけをおこなって深く検討してもらうところですが、今の時点で研究テーマを実際に測れるかたちに落とし込もうとする姿勢が見られることは、とても素晴らしいことです!

 ゼミのメンバー同士のやり取りの中で、自分たちの考えを見直したり他の視点を取り入れたりする経験は、学びのうえでとても大切なものです。また、グループ活動を重ねることで、意見を伝える力や協力して進める力もだんだんと身についている様子です。

 実は「研究のゴールの設定」については、一般的な調査研究の進め方から考えると少し早いタイミングでおこなってもらっています。これは本ゼミならではの取り組みです。量的調査は調査票をもとに調査を実施するため、調査票が完成した時点で得られる情報の内容が決まります。調査実施時に調査票の内容を改変したりすることはできませんし、回答者の負担や社会への影響を考えると、安易にやり直しができるものではありません。そのため、「いかにゴール(問いへの答えを得ること)をイメージした調査票ができるか」ということが非常に重要な意味をもっています。そこで、かなり前もって常にゴールをイメージしてもらい、そのゴールから逆算してベストな質問項目を作成するという流れです。
 このゴールの設定について、本ゼミでは最初に表や図を作成してもらっています。いきなり表や図を作成するのはかなり難しいのですが、「自分たちがどのような成果を得たいのか」ということを念頭に置いてもらって、試行錯誤しながら表や図を仕上げます。もちろん、ところどころ再検討が必要なところも出てきますが、ゼミのメンバーが相互に意見を出し合いながらゴールのイメージを共有することで、ゼミとしての一体感も生まれてきているように感じます。
 
 今後は、いよいよ調査設計のなかでもとくに重要な、質問項目の作成へと進んでいきます。質問の仕方ひとつで結果が大きく変わるため、難しい部分でもあります。しかしその分考える力が鍛えられる過程でもあり、本ゼミでは多くの時間を質問項目の検討に充てています。決して簡単な作業ではありませんが、教員としてもしっかりとサポートしながら、メンバーがじっくり試行錯誤できる環境をつくり、大切にしていきたいと思っています。
 少しずつかたちになっていく調査を通して、学生たちがどのように考え、どのように成長していくのか、これからがとても楽しみです!