教職課程活動ブログ

2015.02.26

異文化をめぐる諸問題を考える

ブログ投稿者:教職課程 准教授 金井香里

文化、異文化間コミュニケーション、文化的アイデンティティ、偏見、差別…これらは、私たちが日頃からよく耳にする語句ですが、いったい何のことでしょうか。また、異なる文化的背景の人々が出会い、意思を疎通しようとしたり生活をともにしようとすると、そこではどのようなことが起きているでしょうか。

 

「教育学特論A」の授業では、授業を大きく前半と後半に分け、先の問いを明らかにしていきます。まず前半の授業では各回、上に挙げたようなキーワードをとり上げ、グループ・ディスカッションやシミュレーション・ゲームをおりまぜながら理解を深めます。後半では具体的な事例として、日本で生活する定住外国人やニューカマー(新来外国人)をとり上げ検討します。学齢期の定住外国人やニューカマーのうちには、日本の公立学校で学ぶ子どももいます。そこで、こうした外国にルーツのある子どもたちは学校でどのような経験をしているのか、子どもたちの担任を受け持つ教師はどのような課題に取り組んでいるのかといった問題について、さまざまな調査研究の成果や新聞記事を検討したり、TV番組、ドキュメンタリー映画を視聴しながら探ります。

「文化の差異とは」の授業回では、食習慣の違い(宗教による摂食制限から目玉焼きやグレープフルーツの食べ方まで)も話題になり、学生たちは日々の生活でもさまざまな異文化を経験していたことに気づきました。
「文化の差異とは」の授業回では、食習慣の違い(宗教による摂食制限から目玉焼きやグレープフルーツの食べ方まで)も話題になり、学生たちは日々の生活でもさまざまな異文化を経験していたことに気づきました。
シミュレーション・ゲームの後は毎回小レポートを作成し、自身の考えをまとめます。
シミュレーション・ゲームの後は毎回小レポートを作成し、自身の考えをまとめます。
今学期は、藤原孝章氏による「ひょうたん島問題」(明石書店、2008年)より、シミュレーション・ゲームを3つ行いました。学生たちは、言語と文化的背景の異なる3つの集団に分かれ、自身とは異なる文化的集団のメンバーとコミュニケーションをとろうと試みます。しかしながら必ずしもうまくいくとは限らず、なかには相手に気味悪がられたり無視され、深く落ち込む学生たちも。自身にとっての「あたりまえ」が通用しないいら立ち、関わりを拒否される悲しみを一時ながらも味わったようです。また、言語的・文化的マイノリティに対する教育政策についてさまざまな立場の代表として話し合い、政策決定のための話し合いが一筋縄ではいかず困難も経験したようです。