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2023.05.09

  • 教育・研究
  • 教務課

お知らせ

生成系AIへの対応について

学生のみなさん
 
 現在、さまざまな生成系 AI(Generative AI)が発表されており、急速に各方面に拡がり、同時にその利用の是非も盛んに議論されています。

生成系AIは大量のデータをもとに機械学習されており、一定レベルの品質の文章や画像などを生成するシステムです。また、それをもとにしたChatGPTは、さまざまな問いに対してあたかも人が回答しているかのような対話アプリケーションであり、広く公開されています。生成系AIの性能は日々向上し、さまざまなアプリケーションも登場しつつあります。この傾向は今後も続き、そして教育の場にも大きな影響を与えていくでしょう。

革新的な技術が登場すると、さまざまな考えや予想が飛び交います。例えば、1990年代後半にインターネットが急速に普及した頃には、私たちの社会から距離という概念は消え、立地は意味を持たなくなり、また競争優位と企業規模の関係は消滅するといった主張がなされました。もちろん、方向性としては正しかったのですが、今も距離は存在し、立地は企業経営や私たちの暮らしに大きな意味を持ち、多くの分野で規模の優位性は存在しています。

今回の新しい技術も、さらに高度に発展し、いずれ利用のルールが確立されて、社会活動の中で必要不可欠なものになることは間違いないと思われます。しかし、どの程度まで私たちの生活を変えてしまうのかは現段階では未知数です。

 生成系AIに限らず、私たちの知的活動を助けてくれるツールは使い方を誤ると、かえって知的活動にかかる能力の成長を阻害することがあります。例えば、自ら調べ自ら考えることによって鍛えられる能力は、獲得した知識をそのまま使うのではなく、自分の頭の中で獲得した知識を十分に消化し、自分の言葉で発信することによって身につくものです。

今後、生成系AIの利用が社会の中でますます重要になっていくことを考えると、生成系AIについての理解を深め、その使い方を習得することは大切です。生成系AIを積極的に利用することが教育効果を高めることにつながるのでしたら、本学でも授業の中に積極的に取り込んでいくことになります。

しかし、今の時点で皆さんに注意してほしいことは、授業の課題等に取り組む際に安易に生成系AIを使い、成果を発表する際に、その作成過程を明示しないことは、レポートを書き上げる際に出典や参考文献を示さないことと同じであるということです。

 生成系AIを使うことの良しあしは、授業ごとに慎重な判断が必要ですが、現段階では担当教員の指示に従って、また皆さん自身でもよく考えながら新しい技術への理解を深めてください。


2023
5月9日
武蔵大学長 高橋 徳行