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2022.04.05

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お知らせ

日本・東アジア文化学科 水口拓寿教授 編 『術数学研究の課題と方法』が刊行されました

本書の概要

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自然の中に現れる数や形を解釈して、それが人に与えるメッセージ(未来の予示や、政治に対する戒めなど)を読み取ろうとする営みを、漢語で「術数(或いは数術)」の学と総称します。術数学の思考は、天人相関論や陰陽五行説といった中国古来の世界観と関わりが深く、人体について探究する医薬の学術とも接点を持ちました。亀甲を用いた占いや、風水などが術数に含まれるのは勿論ですが、今で言う数学や天文学も、伝統的には術数の一部として認識されるものでした。

本書は、水口教授が以前共編した論文集『中国伝統社会における術数と思想』(汲古書院、2016年)の続篇に当たり、第65回国際東方学者会議(東方学会主催、2021年5月)で行われたシンポジウムに基づいています。6つの論文を収めて漢から中華民国までの時代をカヴァーし、編者の水口教授自身も、論文「儒学・術数・方技を結合する—朱震亨『風水問答』の達成と挫折」などを執筆しました。現在、術数学に関する研究が国内外で急速に進展し、目覚ましい成果は枚挙に暇がありませんが、そうした中で本書は、術数学研究を更に前進させるための具体的な課題を提起し、また、それを解決に導くのに有効な方法を模索することを、論文集全体の主題として打ち出した点に特色があります。全244頁。

編者より一言

大学院での恩師である川原秀城先生(東京大学名誉教授)、留学の頃からお付き合いのある張哲嘉先生(台湾・中央研究院近代史研究所副研究員)を初め、術数学研究の第一線におられる方々にご寄稿いただけたことを、心から光栄に思います。また、シンポジウムの開催と論文集の刊行をお勧め下さった池田知久先生(東京大学名誉教授)に、篤くお礼を申し上げます。術数学は中国古典研究の重要な分野であるだけでなく、現在の華人社会にも大きな影響を与えています。本書の刊行を契機として、術数学に対する注目が一層高まることになれば幸いです。

ぜひ、ご一読ください。