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2021.08.20

  • 学生生活

お知らせ

新型コロナウイルスワクチン接種について (学園長メッセージ)

武蔵大学の学生、教職員、関係者の皆さんへ

武蔵学園では、来たる8月31日より本学の学生、学園の教職員並びに関係者の皆さんを対象に新型コロナウイルスに対するワクチン(モデルナ社)接種を実施することになりました。
この機会に皆さんがワクチン接種の意義について十分に理解されるよう学園長メッセージを送ります。未曾有の感染拡大・医療崩壊というこの重大な危機を乗り越え、1日でも早く日常を取り戻すことが出来る事を心より願っています。

「ワクチンの有効性の確認」

ワクチン接種は仮にコロナウイルスに感染したとしても発症を予防し、重症化を防ぐ高い効果がある事が多くの臨床試験・臨床観察で証明されています。

1.  2回のワクチン接種後、十分な免疫抗体が産生されることが確認されています。
2.  ワクチン接種群と非接種群でのコロナ感染症の発症を比べた臨床試験では「非接種群の発症率よりも接種群の発症率の方が94%少なかった」と報告されています。
3.   実社会での有効率 (臨床観察)も示されています。接種者と非接種者の発症率を比較すると海外のデータですが、ワクチンの発症予防効果が90%と報告されています。
 「変異株」に対する有効性については、まだ十分に検証されてはませんが、現在置きかわりつつあるデルタ株にも一定の発症予防効果の報告が見られています。

ワクチンの副反応

ワクチンの副反応とはワクチン接種自体によって誘導された健康上不利益なことをいいます。 モデルナ社ワクチンの臨床試験の結果では、局所の痛みが70-80%と高い頻度で見られていますが、日常生活を妨げる重度の疼痛は0.7-0.9 % でした。多くは1-2日で軽快します。全身症状としては倦怠感や発熱が高頻度に見られています。38度以上の発熱は1回目で数%、2回目で10-17% 見られます。これらの副反応は多くは痛み止めや解熱剤で対応可能です。ワクチンが関連すると思われる入院を必要とする有害事象は見られていません。
注意が必要なのは 「接種後のアナフィラキシー」です。これは重度のアレルギーによって起こり、全身の皮膚の症状や呼吸器・循環器症状が見られるものです。米国の調査ではその頻度は100万回接種で4.5とされています。多くは接種後30分以内に発症しています。わが国では2021年7月時点でモデルナ社ワクチン接種後、100万接種あたり、1.0人が確認されています。接種後に見られる有害事象の中には、ワクチンとは関連のないもの含まれているということの理解も重要です。マスコミによる報道ではこの点が混同されやすく、接種後の有害事象が全てワクチンによって引き起こされた副反応として報道されることがしばしば見られています。

ワクチンも他の薬剤と同様に決してゼロリスクではありませんが、感染を予防するという利益(ベネフィット)と副反応のリスクを比較して、「利益がリスクを大きく上回る場合には接種が強く推奨されます」。一人一人がリスクとベネフィットを正しく評価して、自分自身で判断することが必要です。 ワクチン接種を友人や周りの人に強制することや接種していない人に差別的な扱いをすることはあってはなりません。
ワクチン接種により発症を予防し、重症化を防ぐ高い効果がありますが、接種後にも感染する可能性や人に感染させる可能性はありますので、引き続きマスク、手洗いなどの感染予防策をとる事を忘れないで下さい。

学園におけるワクチン大学拠点接種によって、皆さんがコロナウイルスに対する免疫抗体を獲得され、従来の学生生活が取り戻せるよう心から願っています。

学園長 池田康夫(医学博士)