自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2022.11.09

  • 国東農業研修

研修後レポート 渡戸貴臣 (国東-2022-27)

ブログ投稿者:基礎教育センター 教授 丸橋珠樹(Professor Tamaki MARUHASHI)

 研修最終日、飛行機の離陸まで大分の空むさしで待たせていただいた。閉店作業が始まったので軽く手伝いをすると従業員の方がミニドーナツとかぼすと梨をお礼に渡してくれた。この梨は「かおり」と呼ばれ、非常に大玉でとても甘く1玉1000円以上はするものだが、そうとも知らない私はちょっとした作業の割に合わない物を気軽に受け取ってしまった。思い返せばこの研修で出会った方々は私たち研修生を最大限の優しさを以って接してくださった。人数分の手作り弁当や饅頭、七島藺のストラップ、何本もの飲み物や付き添いでの町の案内など色んな形で多くのおもてなしを受けた。まずは関わった方たちにお礼を言いたい。ありがとうございました。
 
 楽しかった。美味しかった。勉強になった。まだいたい。もっと知りたい。一言ではとてもまとめられない程の経験をこの国東半島農業研修で味わった。事前学習で私は食料問題をメインに調べたが、今回の研修で吸収したものは食糧問題に関する情報だけではなかった。というより、もっと違う角度のことを多く学び感じた。脳で処理するものよりも心に影響されるものの方が多かった。今回の研修では知らない土地で知らない人から話を聞くだけかと思っていたが、国東半島の方々の詳しく親身な説明を聞いているとまるで自分もそこの住人として追体験しているかのようにすら思えた。正直私にはここで受けた影響を言語化するのは難しい。
 
 ただ、自分が井の中の蛙であることに気づかされたことは確かだ。国東半島だけでもこんなに面白い人達がいてそれぞれが色んな生き方をされている。私は将来の夢や目標を周囲に合わせた狭い視点でしか考えられていなかった。工房ラ・パロマの中野伸哉さんに伺った物事に対する視点や思考方法は一朝一夕で身に付くものではないが、だからと言って本研修を体験で終わらせては何も変わらない。確かに本研修のようにより多くの可能性に気づくきっかけは大切だが、都会にいようが田舎にいようが人生を自身にとって有意義なものにする鍵は結局行動することにある。
 
 また、国東半島で会った方々の話を聞いて1つ共通していると感じたことがある。それは誰しも自身が今やっていることに迷いがないということだ。既に過去の暮らしから離れると決意して国東に移住した方や農業一筋の方に会わせていただいたので当たり前といえば当たり前かもしれないが、これが人生において重要なことなのだと理解した。もちろん日々の生活の中には様々な迷いがあるのだろうが、大局的に見たときに絶対にブレることのない決意を持たれていた。そして皆、自分の井戸を決めつつもその広さは尋常じゃなかった。
 
 私は今後、もっと多くの人と関わることを人生の主軸にし、絶えず自分の世界を広げながら生きていこうと思う。まだ何をやるかは明確に決められないが限りなく広い井戸の中で暮らしていけるよう努めていきたい。
 
  • 宇佐神宮の力石に挑む女子学生たち。昔は力自慢を競って、90キロ、120キロ、140キロの石を担ぎあげたとのことだが、最も小さな石に果敢にトライ。撮影日時: 2022:09:05 12:09:37