自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2022.11.04

  • 国東農業研修

ウーマンメイク 大河原花 (国東-2022-04)

ブログ投稿者:基礎教育センター 教授 丸橋珠樹(Professor Tamaki MARUHASHI)

 市役所にて地域おこし協力隊の方々とお話した後向かったのは、国東市安岐町にあるウーマンメイク株式会社だ。主に水耕栽培でレタスを作り、最近はほうれん草も始められたという。訪れた際には、従業員のみなさんが和気あいあいとした雰囲気で帰るところだった。今回私たちがお話を伺ったのは、代表の平山亜美さんである。栽培作物をレタスにした理由は、蜂が苦手だからというおちゃめな一面を持ちながら、ハツラツとしていて芯の強さがある女性だと感じた。
 
 起業のきっかけとなったのは、前職の出産・育休に対する態度だったという。本来であれば、おめでたい出来事であるはずなのに、どうしてだろう。そんな鬱々とした思いから、農業であれば、女性がストレスなく働ける環境を作り出せると考えたそうだ。ウーマンメイクでは、莫大な初期投資を伴うコンピューター制御の水耕ハウス栽培を行っている。それによって、天気に合わせて仕事をする必要はなくなり、安定供給にもつながる。つまり、従業員である以前にお母さんである女性も働きやすく、周年雇用もしやすい。雇用型農業が成り立ち、決して都市とはいえない国東市であっても、雇用が生まれる。しかし、「国東農業研修」に参加した私としては、平山さんの「この事業ができたのは、国東だったからこそ」という言葉が印象的だった。国東市では、第一次産業を基幹とし、女性の活躍を推進している。このような環境であるからこその事業とも考えられるだろう。
 
 順調にみえるウーマンメイクであるが、実は最近、6年目にしてはじめてレタスが全滅するという大事件が起こってしまったそうだ。今後のことを考えられなくなるほどショックだったとおっしゃっていた。そんな最中に訪れた私たちを笑顔で出迎えてくださった平山さんには頭が上がらない。
 
 平山さんと同時にお話を伺ったのが、上原農園株式会社代表の上原隆生さんだ。大分空港が近いという立地を活かして、小ねぎの水耕ハウス栽培をし、中食・外食需要に応えている。取引企業には数々の有名店が名を連ねており、開いた口が塞がらなかった。食の価値が下がりつつある現代において、ビジネスとして成立させるということをしないと、そのものがなくなってしまう恐れがあるのだと感じた。この場所で先駆者として小ねぎの水耕栽培を始められた上原さんの表情は、勝負師そのものであり、かっこよかった。お二人ともお忙しい中貴重なお話をたくさんしてくださり、ありがとうございました。
 
  • 写真1:一番のポイントは栽培溶液の温度管理であり、この管理に問題が生じると大打撃をこうむることもある。撮影日時: 2022:09:01 17:48:12
  • 写真2:見学させていただいた、レタスを栽培している様子。撮影日時: 2022:09:01 17:47:55