自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2022.11.04

  • 国東農業研修

市長表敬訪問・地域おこし協力隊との意見交換 波多野結衣 (国東-2022-03)

ブログ投稿者:基礎教育センター 教授 丸橋珠樹(Professor Tamaki MARUHASHI)

 『大分の空むさし』を後にし、私たちは国東市役所へと向かった。市庁舎にて市長表敬訪問と地域おこし協力隊の皆さんとの意見交換会が予定されている。あまり馴染みのない市役所のオフィスにすでに緊張感を抱きながらも、滅多にない貴重な機会を良いものにしようという気持ちになった。協力してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
 
 市長は国東市の取り組みや力を入れていることなどを丁寧に語ってくださった。昨年四月、武蔵中学校、武蔵東小学校、武蔵西小学校の三校が統合し、志成学園が開設された。国東市から大分市内に中学以降進学してしまう人が増え、大分市内に出なくてもいい学校を作ろうという思いがあったそうだ。統合により余った土地には会社が建設される。学校の跡地は地盤が安定していること、また国東市は空港が近いため利用されやすい。空港が近いことは物流の面でもとても有利になる。その利点から空港周辺は半導体などの先端事業が発達している。たしかに車の移動の時にCANONやSONYなどの看板が目に付いた。工業で国東市は県内4位になっているそうだ。
 
 そして同時に一次産業にも力を入れている。先端技術と一次産業を同時に取り組むことでスマート農業を実現させている。そのため個人よりも企業の時代となり、資本・技術・販売力がますます必要となる。そこで重要なのが安心・安全という日本のイメージだ。良いものはたとえ高価格でも評価されるため、質の高さを強みにすることができる。そうすることで日本の農業の未来も変化させることができるとおっしゃっていた。たしかに、他国と比べても日本の商品は質の安全性が評価されているように感じる。そのような「強み」を大切にしているからこそ、国東市の農業も高く評価されるようになっているのだと思った。
 
 続いて、地域おこし協力隊農政課の羽賀田剛さんと山家孝文さんにお話を伺うことができた。武蔵大学の卒業生で現在国東市役所に勤めている古谷さんと岩武さん、そして宮園さん、越名さんもご一緒していただいた。
 
 地域おこし協力隊に入ったきっかけや現在の仕事内容について話してくださった。お二方とも経歴は様々であった。だからこそ気づく新たな視点や発想があり、それが地域の活性化にも活きてくるのだと感じた。私が特に印象に残ったのは、国東にしかない魅力やどうして国東にしたのか、という話の中での「人の温かさ」という点だ。この農業研修がきっかけとなって国東に移住した古谷さんも、国東の人と一緒に生活していきたいという思いがあった、とおっしゃっていた。研修旅行当初は、正直私は、人によって変わってくるのではないかと半信半疑であったが、研修が進むにつれ、その意味がはっきりと分かってきた。どこに行っても歓迎してくれ、沢山の人の温かさに恵まれていた。これは当たり前のことではなく、国東の人だからこそだったのだと身にしみて感じた。
 
 地域の課題として挙がったのが、移住してくる人も多いが、同時に出て行ってしまう人も多いことだった。その定住対策としてあるのが、近所ごとで定期的に行う交流会だそうだ。人との繋がりを持つことで、ちょっとした悩みも相談できるようになるため、とても国東らしい素敵な対応策だと感じた。都会ではなるべく迷惑をかけないように、とか一人でなんとかしなければならない、という冷たい空気が流れているように感じる。しかし、ここでは助け合うのが普通で、頼り合える関係性があった。国東のような地域の強い繋がりが都会でも増えれば、孤独がゆえに起こってしまう社会問題や生きづらさも軽減できるのではないかと感じた。
  • 写真1:三河市長に現在の国東市の取り組みなどを丁寧に説明していただいた。撮影日時: 2022:09:01 13:15:25
  • 写真2:地域おこし協力隊の意見交換の際に協力してくださった皆さんとの集合写真。撮影日時: 2022:09:01 15:04:30