自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2022.11.09

  • 国東農業研修

菊水でのねぎしゃぶ 石平青 (国東-2022-20)

ブログ投稿者:基礎教育センター 教授 丸橋珠樹(Professor Tamaki MARUHASHI)

 安心院から帰還し、ホテルで小休憩を取った後、私たちは夕食のためホテルからほど近い場所にある「菊水旅館」に向かった。お店側から特別に許可を頂き、道中のスーパーで各々が買った酒やジュースなどの飲み物を持ち込んでの小宴会となった。
 
 お座敷に案内された私たちの目に飛び込んで来たのは、鯛や鮪・海月の刺身、茹で海老、ホタルイカの沖漬け、骨付きの鶏の唐揚げなど、テーブルの上に所狭しと並べられた料理の数々であった。しかし何と言ってもメイン料理は、地元産の大分味一ねぎ、豊前海で獲れた鱧、豊後牛を使ったしゃぶしゃぶである。地元でとれた食材を地元で消費する、所謂「地産地消」に拘りを持つ菊水ならではの料理である。また一人ではとても食べきれないほどの料理の数々は、「食べきれないほど食べてお腹一杯になって帰ってほしい」という菊水の女将さんの温かな想いによるものだという。
 
 まずは大分味一ねぎのねぎしゃぶを頂く。熱を通し過ぎない程度に湯で泳がせ、菊水特製のつけダレにつけて食べる。しゃきしゃきとした食感と共にねぎの香りが口一杯に広がり、とても美味しかった。研修二日目に訪れたねぎ農家の長廣さんのことを思い浮かべると、より美味しく感じた。次に鱧をさっと湯掻き、同じタレにつけて頂く。プリプリとした弾力のある身で、噛めば噛むほど鱧の旨味が出て非常に美味しかった。更に綺麗に霜の降りた豊後牛を頂く。鍋に入れる前は脂身が多過ぎるのではないかと思っていたが、食べてみると脂が適度に乗りつつもさっぱりとした味わいで、何枚でも食べられる美味しさであった。
 
 その他の料理にも舌鼓を打ちつつ、同じテーブルを囲んだ先生方や学生同士で談笑に花が咲く。私は前日からお世話になっている松木さんとご一緒させていただいた。吹奏楽や鉄道、果ては戦艦の話に至るまで、我々学生の話に的確に答え、話を拡げてくださる松木さんの知識の幅広さに驚いた。身に付けた知識に決して無駄なものは無く、必ずどこかで活かすことが出来る。松木さんが度々仰っていた「引き出しを多く持つこと」の大切さを実感した。
 
 隣のテーブルには宇佐市のふるさと応援隊として今年3年目になる金子ありなさんも一緒にねぎしゃぶをいただきました。松木さんが宇佐への移住者も紹介したいということで、鳥居橋で待ち合わせて、その後の研修にも同行してくださいました。関東からの方でふるさと応援隊の任期が終わればこの地方に移住してしまおうかなと考えているとのことでした。薬剤師としての専門性を活かして地域に生きる工夫ができたらなあと未来を見据えていました。
 
 料理の〆は、乾麺のうどんをダシと一緒にしゃぶしゃぶの鍋に入れて煮込んだうどんであった。鍋の〆に乾麺のうどんを使うというのは珍しく感じたが、ねぎや鱧、肉の旨味を吸ったうどんは非常に美味しかった。全ての料理を食べきることは出来なかったが、女将さんのお心遣いに感謝しつつ手を合わせた。
 
 菊水での夕食は、ただひたすらに「美味しい」の一言に尽きた。特に大分味一ねぎのねぎしゃぶは絶品で、元来ねぎが苦手な私でも美味しく頂くことが出来た。また地産地消についても考えが改まった。地元の食材を地元で食べる、至ってシンプルで当たり前のことのように思えるが、とてもありがたいことなのだと実感した。
 
 改めて、私たちを迎え入れ料理を振る舞ってくださった菊水旅館の皆様、ご馳走様でした。
 
  • 菊水旅館にて。女将さんのお話を伺い、しゃぶしゃぶを頂く。撮影日時: 2022:09:04 18:26:33
  • ほんの短時間だけで食感を大切にと、ねぎしゃぶの実演をしてくださる女将は今年90歳を超えているとのこと。撮影日時: 2022:09:04 18:29:31