自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2021.09.08

  • 武蔵One Point自然観察

ホウノキ (Now 武蔵の自然 No-44)

ブログ投稿者:基礎教育センター 教授 丸橋珠樹

 武蔵で咲く花の中で最大はホウノキです。葉の長さは20センチ以上もあるので、見比べるとわかる通り、両手で抱えるほどの大きさです。皆さんの中で、ホホバ味噌を食べたことがある人は葉の大きさを思い出してください。葉の殺菌作用を利用した保存食です。
写真01:おしべが落ちかかっている花。撮影日時: 2021:04:20 10:23:52
 この写真を撮影したのは中高の校舎3階からです。とても大きな木で、高い樹上に花は咲くので、こんな風に見ることはなかなかできません。下の写真撮影日は全て同じですが、多様なタイミングの花をみることができます。つぼみ、開花、花弁が落下、実り始めた果実などです。つまり、木全体では長くパラパラと咲き続けていることがわかります。葉は集まって輪状のように見えますが、短く伸びた枝に葉が向かい合わせとなっている対生です。花は良い香りがするとのことでしたが、手に取ったわけではないので、よくわかりませんでした。
  • 写真02:花を真横からみるとこんな感じで上向きです。撮影日時: 2021:04:20 10:25:26
  • 写真03:花弁も落ちてしまった花。撮影日時: 2021:04:20 10:24:34
  • 写真04:ハスのつぼみのような雰囲気です。撮影日時: 2021:04:20 10:26:25
  • 写真05:花撮影から一月ほど過ぎて、膨らみ始めた果実には突起が沢山ついていました。花びらとおしべが落ちた痕も確認できます。撮影日時: 2021:05:16 09:25:56
 花にはコガネムシなど花粉を食べる虫が訪れ、歩き回っているうちに花粉をつけ、飛び移って受粉するとのことです。同じ木でタイミングが違う花が咲くのは自家受粉を防ぐ効果がありそうですが、同時に咲く花もあって、自家受粉で結実する場合も高い割合という報告もあります。
 
興味深いことに、一つの花でみると時間的に性転換するそうです。つまり、開花1日目はめしべが成熟し雌花となって花粉を受け、2日目には花は閉じ、3日目はおしべが成熟して雄花となり昆虫に花粉を運んでもらうそうです。自家受粉を防ぐ進化です。