自然科学・身体運動科学分野活動ブログ
2020.05.29
- 武蔵One Point自然観察
イロハモミジー赤い花は雄花ー(Now 武蔵の自然 No-07)
2020年は、年始から新型コロナウイルスが話題となっていました。3月になると武蔵も卒業式がなくなり、学生は登校禁止となりすっかり人影がなくなってしまいました。記憶に鮮明な人もいるでしょうが、咲き始めたばかりのイロハモミジの花も、時ならぬ大雪で寒そうでした。
名前は、葉がいくつに裂けているかイロハニホと数えるのに由来しているそうです。赤味をおびた雄花は数が多く、両性花は少ない。写真にあるように、両性花では既に小さな翼がついた若い実がみえるのがわかるでしょうか?この写真の花序では雄花が11で、雌花が2つで、雄花への投資量が多いことがわかります。秋まで投資を継続しなければならない両性花にとっては、わずかの数の花粉がつけば受精できます。花粉を他の木へと運んでもらえる確率は低いので、途方もなくたくさんの雄花と花粉を生産しておく必要があるのでしょう。気温も上がってきて、ミツバチが花粉を集めにきていました。後ろ足に花粉団子をつけています。
花序は下向きでしたが、葉が開き終わるころは、こんな風に上向きで、赤味が残る若い実が大きく上向きに成長し、目立ちます。でもどうして上をむくのだろか?
花が咲くころ、地面のあちこちでは、昨年の種が芽生えています。あの芝生になりかけの8号館と3号館の間でも芽生えを見ることができますが、ほとんどは定着することなく消えてしまいます。
生物学ラボワークでは、カエデの風散布についての簡単な観察も行っています。どんぐりの落下時間とくるくると回りながら落ちていくカエデの落下時間とには、当然大きな差異があります。どんぐりはほとんど自由落下ですから、高さが決まれば落下時間も計算できます。物理の時間に計算した経験のある人もいるでしょう。イロハカエデの種を落としてみるとその見事な回転ぶりに驚きます。自然選択の結果といえばその通りなのですが、種の表面の筋がないと回らないとも聞きました。ぜひ、受講して研究してみてください。