自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2020.05.29

  • 武蔵One Point自然観察

センダンー香りの花ー(Now 武蔵の自然 No-08)

感染症が生産活動を激減させているためでしょうが、青空が澄んでいる日が多い気がします。青空に映える薄紫が印象的な満開のセンダンです。図書館前広場の端、9号館の高さを優に超えている木ですが、意外に、樹齢は若いのです。皆さんよりは少し年上です。
  • 淡い紫の満開のセンダンと青空の雲の形が印象的。撮影日時: 2020:05:17 08:57:15
  • 花の構造、クローズアップ、撮影日時: 2020:05:17 08:52:30
樹下に落下している花を拾う人は稀かもしれませんが、実は非常に良い香りがします。花は結構特殊な構造をしています。花冠が長いので、ミツバチの舌では蜜源に届きません。大型の黒いマルハナバチとアオスジアゲハが盛んに蜜を吸っていました。
  • マルハナバチが吸蜜。撮影日時: 2020:05:17 06:51:52
  • アオスジアゲハが吸蜜。撮影日時: 2020:05:17 06:52:30
武蔵国から白い雉が朝廷に献上され、瑞兆と褒められたという逸話が続日本紀に書かれているそうです。武蔵大学のシンボルにも取り入れられています。学園祭も白雉祭ですし、大学HPには以下のように由来が述べられています。

「本校創立事情記録」によれば、「蓋し雉は吉瑞佳祥の鳥なり。校名既に武蔵と称す。武蔵国にして斯の瑞鳥を産するが如く、本校亦国家有為の人材を簇出せざるべからず。相因して之を徽章となしたり」とされている。

9号館から広場のセンダンを撮影。撮影日時: 2020:05:17 08:44:56
もう20年と少し前になりますが、生きた白雉を武蔵学園に寄付してくださった方がいて、広場の端に鳥小屋を作って飼育していました。その小屋ができた時には、この木はちょうど3メートルくらいで小屋の中に取り込まれていました。あれからわずか20数年、あっという間に3階を超える大樹へと成長しました。
果実は、実ると緑色をしていますが、熟すとうっすら黄色となります。落葉した晩秋から初冬までたくさんの実が残っています。渡り途中のヒヨドリの群れがやってくると、ほんの数日でなくなってしまうこともあります。鳥による糞散布で武蔵の中でも芽生えをみることも多い木です。種子は非常に硬くて、金づちでたたくと割れるほどです。

 

アフリカでもこの木はあちこち植えられていて、懐かしかった思い出があります。世界中、暖かい地方だとどこにでも植えられていて、原産地ははっきりしないとのことです。屋久島の永田小中学校では、運動場の巨木となったセンダンの木陰で全学年の生徒が一休みしていました。巨木の周りに集うこどもの姿には、安心感がありました。