西村淳子 著
『フランス語時制論 ―発話行為のテクスト言語学』春風社、2015年●本書の概要フランス語にはたくさんの時制がありますが、具体的にフランス語を話す場合、どの時制を使うのが相応しいのか、どの時制を使えばどんな効果が生まれるのかは、辞書や文法書のような例文の枚挙だけでは理解できません。本書は、実際に言葉が使われる現場(「談話」「テクスト」)での時制の変化や他の要素とのさまざまな関係を考察し、実際に使われた時の時制の価値を読み解きます。
●著者より一言本書はフランス語の時制についての研究書ですから、フランス語学言語学を専門にする研究者に向けられたものです。しかし、同時にフランス語の文法を一通り勉強したけれど、時制の働きがどうもよく分からないという学習者にも読んでいただきたいと思っています。理論は苦手という人も、モーパッサン、ラルヴォー、ドーデ、ジオノ、トゥルニエ、プルースト、アポリネール、他、フランス文学の短編や児童文学、シャンソンの「オー・シャンゼリゼ」まで、色々なテクストを分析していますので、時制がいかにフランス語の作品に重奏的な効果を与えているか、読書を楽しみながら感じとってみてください。
(西村淳子)