自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2022.11.09

  • 国東農業研修

宇佐神宮 横田仁 (国東-2022-22)

ブログ投稿者:基礎教育センター 教授 丸橋珠樹(Professor Tamaki MARUHASHI)

 宇佐の戦跡を後にした私たちは、宇佐神宮へと向かった。研修前のレポートで宇佐神宮を取り上げた私としては、今回の研修で、最も楽しみにしていた場所だ。宇佐神宮をはじめとする八幡造の最大の特徴は、八幡三神を祀るため、三棟の本殿が横に並んで長い幅で建てられている点だろう。そこで思い出したのが、前日の県立博物館での櫻井さんの解説だ。櫻井さんは、以前から武蔵の農業研修旅行に協力していらっしゃるが、今回はご多忙のために参加できないはずだった。しかし、偶然にも県立博物館で出会い、宇佐神宮について解説していただいた。これも、何かのご縁だろうか。宇佐神宮周辺のジオラマや、本殿の模型を前にした解説は分かりやすく、イメージが湧いた。
 
 特に記憶に残ったのが、櫻井さんが最後に話していた内容だ。それは「歴史を考える上で、昔から今の形態であったと考えてはいけない」ということだ。八幡宮の特徴のひとつは八幡三神を祀る点だが、宇佐神宮ができた時点から、ずっとそうであるわけではない。八幡神の発展という歴史的な流れがあり、現在では八幡三神を祀っているということだ。明治以降、神仏分離政策によって宇佐神宮は神社となったが、それ以前は仏教と習合し、八幡神は八幡大菩薩と呼ばれてもいた。1年次のゼミで「伝統とは何か。現在、伝統とされるものは、本当に伝統と言えるのか」というテーマで学習した私としては、深く共感する内容だった。
 
 話を宇佐神宮へ戻そう。もちろん、本殿も特徴的で興味深いのだが、個人的に印象に残ったのは、大元神社遥拝所である。遥拝所(ようはいじょ)とは、遠く離れた所から神仏などを拝む場所である。宇佐神宮の歴史を振り返ってみると、初期の八幡神の信仰を形成した要素のひとつに、馬城峯(まきのみね、宇佐神宮の東南方向5km地点) の山頂に立つ三巨石を対象とする磐座(いわくら)祭祀がある。現在、馬城峯には摂社の大元神社があり、宇佐神宮の境内から大元神社に向かって拝むことができるようになっている。
 
宇佐神宮に参拝した際には、上宮と下宮だけで終わらせずに、大元神社遥拝所から馬城峯を望むことで、宇佐神宮の歴史に思いを馳せるのも良いのではないだろうか。
 
  • 県立博物館の展示模型の前で櫻井さんが宇佐神宮の八幡三神を祀る本殿を説明。撮影日時: 2022:09:04 10:59:55
  • 宇佐神宮本殿、ご神木の大楠にはしめ縄。この本殿の回廊には四角な小窓があって、奥の院を遥拝することができる。撮影日時: 2022:09:05 12:19:14