自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2022.11.09

  • 国東農業研修

研修後レポート 波多野結衣 (国東-2022-30)

ブログ投稿者:基礎教育センター 教授 丸橋珠樹(Professor Tamaki MARUHASHI)

 私がこの農業研修に応募した理由は、農業について知りたい、新しいことに自らチャレンジしたい、という漠然とした単純なものだった。研修を終えた今思うと、より明確な目標を持ち、事前からもっと知識を蓄えておくべきだったと感じる。こんな私にもこの素晴らしい研修に参加する機会をくださった丸橋先生にまずは感謝をしたい。この研修では、一人ひとりの人生や強い信念、これからの生き方など、自分の人生観を変えるほどのお話も聞き、経験をさせてもらった。感じたことがあまりにも多すぎて、うまくまとめられるか不安だが、丁寧に言葉にしていきたいと思う。

 研修に行くことが決まってから、事前学習として丸橋先生の集中ゼミへの参加や事前発表会などがあった。後藤先生の講義では都市農業について学習し、都市における農地の有用性、これからの課題について学んだ。どの場面においても、先輩方の視点の多面さや積極性、発表のわかりやすさに感動し、とても刺激を受けた。

 国東半島の農業の歴史を知るというのが今回の研修の一番の目的であった。生活に根ざした農業の話を聞き、古くからの地形の使い方を実際に見ることで、農業に対する考え方が変化した。作物を作ることは単純な作業と思っていた部分が恥ずかしながらあったが、そうではなく、天候が相手ということでどうしようもないことがあったり、作物に欠かせない水の供給の問題など非常に知恵が必要な職業であると感じた。広大な水田を見て、これを全て人の手で管理しているのかと思うと本当に驚いた。国東半島という特徴的な地形でありながら試行錯誤を重ねてきた人々のリアルを直接感じることができた。現在は生野菜よりも惣菜など加工されたものが好まれる時代になっているという。加工される前の状態を知らない子どもも増えてきているそうだ。食材が人の手によって作られ、沢山の思いと努力によってできたものだと私たち消費者は知るべきだと改めて感じた。

 丸橋先生の国東半島農業研修のねらい十カ条の三つ目に「人生のモデル「あんな人になりたい」人達との出会いの機会を与える。チャレンジをする人物の情熱、その道の達人の人生の軌跡、信念を持つ人物と語る。」があった。研修を終え、その意味がはっきりと分かった気がする。私は素直に感情を出したり本心を見せるのが苦手で、どこかいつも緊張してしまって心から楽しむことを忘れてしまっていたのではないかと感じる。しかし研修で出会った方々は、自分の思いに真っ直ぐで、お話をされているときはとても生き生きとされていた。普段から考えていることだったり、本当に心から思っていることだからこそ、聴いている私たちの心に刺さるのだろう。私もそんな風に良い影響を与えられる人になりたいと感じた。

 まだやりたいことも自分の興味のある方向も定まっていない私には、こんなにも自分の言葉で語れることがあるのは本当に素敵な事だと思った。七島藺農家で出会った緒方さんは「自分が興味を持ったものに損得を考えずに」ということをおっしゃっていた。目先の利益やちょっとした違いだけで諦めたり、選択をしてしまうのはもったいないことだ。これから将来を決めるに当たり、自分の気持ちに正直になって先見的な視点を持って決めようと思うきっかけになった。

 また、研修で出会った方々は今までは当たり前とされていて疑問視されていなかった部分にも目を向ける力を持っていると思った。これは私が学んでいる社会学にも通じる部分であり、当たり前を疑うことで、新たな視点が見つかりよりよくなることがある。他の人がやっているから、今までもそうだったから、で物事を考えてしまうと見えなくなってしまう。もう一度自分の日常生活も別の角度から見つめなおしてみようと思った。何か新たな発見が見つかるかもしれない。

 この貴重な経験は決して一人ではできなかったものだ。丸橋先生、参加者の皆さん、協力してくださった皆さんのおかげである。本当にありがとうございました。
  • 減反政策の転換作物として黒大豆を大規模栽培し、地域特産品への加工を目指している。撮影日時: 2022:09:04 08:54:14