自然科学・身体運動科学分野活動ブログ
2020.10.22
- 武蔵One Point自然観察
幸せ並木ー植物界の知恵者ケヤキー(Now 武蔵の自然 No-24)
ケヤキ並木で幸せ風景に出くわしました。先日、秋の武蔵の写真を撮ろうと学内を歩いていると、何かのドラマかな?花嫁衣裳の撮影チームを遠目で発見しました。レフ板という光を反射させて、顔をはっきりと撮影する道具なども使っていました。大きなはっきりとした花嫁衣裳の柄が、武蔵のケヤキ並木に映えていました。良い秋晴れの天気のもと、二人の記憶に残り、きっと幸せになることでしょう。
ケヤキにも実がなります。皆さんはケヤキの種を見たことがありますか?植物は種を作り、生育適地へと種子散布する工夫に満ち満ちています。皆さんが普通に食べている果物は、種子散布の報酬として、散布動物の食糧となる部分を人為選択で大きく、甘くしたものです。
ケヤキは春の新葉展開とともに花を咲かせます。小枝の元のほうには沢山の雄花、枝先の葉の元には雌花が位置しています。雌雄の花の咲く位置が違う植物です。樹木の基本的な性投資を反映して、雄花数のほうがずっと多いことを確認できます。
春の開花から半年後、結実します。ケヤキの種は小さく、殻は意外に硬いのですが、中には白い胚乳があります。この種を飛ばす工夫が小さな葉がついた小枝なのです。花が咲かない年には、大きな葉となり、花を咲かせるときには小枝という作戦です。種に翼をつける風散布の植物は多いのですが、ケヤキは、植物界では特別の進化を遂げた、植物界随一の知恵者なのです。皆さんもケヤキの秋には、足元から小枝を拾い上げて植物進化を実感してください。