自然科学・身体運動科学分野活動ブログ
2020.06.07
- 武蔵One Point自然観察
シラカシー花粉は風散布ー(Now 武蔵の自然 No-10)
シイノキよりも数週間早く咲くのがシラカシです。シラカシもシイノキと同じブナ科植物で、花弁のない雄花と雌花を咲かせます。シラカシの花粉は風散布なので、虫媒花のシイノキに比べると、雄花数はもっと多くなります。風任せの花粉の旅ですから、どこへ飛んでいくのか、受粉効率が悪いからでしょうか。そのため雄花と雌花への性投資の偏りは、シイノキよりもっと極端です。
シラカシの雄花は垂れ下がっているのがわかるでしょうか?この特徴はQuercus属のなかの系統群の特徴の一つとなっています。シイノキのように雄花が天に向かって伸びているか、それとも垂れ下がっているかは、ドングリの仲間ブナ科植物を分類する最初の重要な特徴となっています。
シイノキと比べて欲しいのが葉の寿命です。シラカシは常緑樹ですが、花が咲くころには、昨年の葉はほとんどすべて落ちてしまいます。つまり、葉の寿命は一年ほどということになります。一方、シイノキでは葉の寿命は2から3年ほどですから、葉が生い茂り、見上げると黒っぽく見えます。常緑樹の落葉は春です。若葉が出れば、冬でもがんばっていた古い葉を落としてしまいます。落葉樹は、秋の紅葉で分かる通り、落葉は秋となります。
もう一点比べて欲しいのはドングリの成長期間です。シラカシでは、春に受精した雌花が秋に実ります。つまり、シイノキは1.5年、シラカシは0.5年です。ドングリの仲間では、結実期間に二つのタイプがあります。渡り廊下を通るときには、シラカシのドングリがだんだん大きくなるのを継続して撮影してみてください。そうすると、すべてが結実するわけではないこと、つまり、死亡率もわかります。