自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2013.06.30

  • 武蔵One Point自然観察

桜の花外蜜腺

桜は、花の季節が過ぎると忘れられてしまいますが、若葉の季節にも桜の進化の秘密を見ることができます。植物の被食防衛の話題です。植物は葉に含まれる葉緑素で炭酸同化作用を行います。そのため、葉を食べる虫たちからの葉の防衛は、最も大切なものとなります。
 
葉を護るためのガードマンを雇うことができれば良いのですが、報酬を支払わなければなりません。アリをガードマンとして雇い、彼らへの報酬が花外蜜腺の蜜 なのです。通常、蜜は花にあって、花粉を送授粉してくれる生物への報酬ですが、花の外に蜜を出す特別な器官をつくることもできます。
 
その試みの一つが、桜の葉の付け根にぽつんと付いている花外蜜腺なのです。実際に蜜を出しているわけではなさそうですが、生物の進化が産み出した工夫の一端を桜の葉をみて確かめてください。桜餅を食べるときにも確かめてみてください。
  • 桜の花外蜜腺
    図書館の前のソメイヨシノが新入生を迎えて真っ盛り。 撮影日時: 2012:04:09 19:07:01
  • 桜の花外蜜腺
    梅雨に濡れた葉の付け根に花外蜜腺が二つはっきりとみえる。 撮影日時: 2012:06:16 09:05:20